最新記事

ウクライナ危機

策士プーチンがウクライナ危機で狙っていること

The West Fell Into Putin's Trap

2022年1月31日(月)17時45分
カロリーヌ・デ・フラウター(フォーリン・ポリシー誌コラムニスト)

そうではなく、ルールを語ればいい。

いい例が1月にロシアを訪問したドイツのアンナレーナ・ベーアボック外相だ。彼女が語る正論に、ロシアの外相セルゲイ・ラブロフはたじろいだ。まずい、この議論だとロシアはのけ者にされ、大国の地位を脅かされると気付いたのだろう。

3つ目。プーチンが何を望んでいるのかを、もっと真剣に考慮する必要がある。

もちろん彼の勝手な振る舞いは許せないが、多少ともまともに振る舞えば、褒美を与えてもいい。

例えば、彼はアメリカ大統領と一緒に対等な立場でステージに上がり、その雄姿をロシア国民に見せつけたいと思っている。ならば、彼が行いを改めない限り首脳会談には応じないと(もちろん水面下で、しかしきっぱりと)通告すればいい。

つまり信賞必罰。その意味するところはプーチンもよく理解しているはずだ。

「売れるものをただでやるな」は、そもそもロシア外交の伝統だ。肝心なのは、全てを水面下でやること。そうすればプーチンは、メンツをつぶされることなく行いを改められる。

ただ、こうして考えると別な疑問が湧いてくる。そもそも効果的な外交は公の場で可能なのか?

今は何でも筒抜けで、重大な交渉を内密に進めることは不可能に近い。おかげで透明性と責任が担保されるのは事実だが、微妙な調整や賢い戦略はやりにくくなる。

プーチンを勝たせてはいけない。その代償を払うのは西側の私たちなのだから。

From Foreign Policy Magazine

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

カナダの経済構造改革は数年単位、「痛み伴う」と中銀

ビジネス

カナダ、EV義務化を撤回 購入奨励策と排出規制で普

ビジネス

日経平均は続落で寄り付く、米ハイテク株安が重し 足

ワールド

メキシコ中銀が金利据え置き、インフレ目標回帰見通し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 9
    「エプスタインは悪そのもの」「悪夢を見たほど」──…
  • 10
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中