最新記事

中国経済

中国・恒大集団「債務返済資金、確保できる保証ない」 広東省など当局は不安払拭へ

2021年12月6日(月)11時36分
香港の中国恒大集団のビル

中国広東省政府は、資金繰り難に陥っている不動産大手、中国恒大集団が債務返済に十分な資金を確保できる「保証はない」と表明したことを受け、同社の許家印会長を呼び出すとともに、社内のリスク管理などを監督するために作業チームの派遣を決めた。写真は香港で9月撮影(2021年 ロイター/Tyrone Siu)

中国広東省政府は3日、資金繰り難に陥っている不動産大手、中国恒大集団が債務返済に十分な資金を確保できる「保証はない」と表明したことを受け、同社の許家印会長を呼び出すとともに、社内のリスク管理などを監督するために作業チームの派遣を決めた。

同社は同日付の香港取引所への提出文書で、債権者から約2億6000万ドルの支払いを要求されたと明らかにした。恒大は既に、11月6日が期限だった8250万ドルの利払いの履行が遅れている。

文書は「現在の流動性の状況を踏まえると、財務上の義務を引き続き果たすために十分な資金を確保できる保証はない」とし、義務を果たせない場合、債権者は返済加速を求めるかもしれないとの見方を示した。

恒大が本拠地を置く広東省の政府は声明で、恒大の要請に応じて同社に作業チームを派遣し、リスク管理や内部統制強化、通常業務の続行を監督すると明らかにした。

この日は中央政府当局も恒大問題で相次ぎ声明を発表。

中国人民銀行(中央銀行)、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)、中国証券監督管理委員会(CSRC)は別々に出した声明で、不動産業界全般へのリスクは抑制可能との認識を示し、投資家の不安払拭に努めた。

人民銀は「恒大問題は、同社自体の経営ミスや急激な事業拡大が主因だ」と指摘。不動産会社1社がもたらす短期のリスクが中長期的に市場の資金調達機能を損ねることはないとした。中国における不動産販売や土地購入、資金調達は「既に正常化した」との認識を示した。

銀保監会は、恒大問題が業界の通常活動に影響を与えることはないとし、賃貸保証業務の支援を強化する方針を示した。また、国内外の規制当局は恒大関連の問題に公正に対処するとの見通しを示した。

CSRCは、同問題による資本市場へのいかなる波及も「対処可能」とし、不動産開発業者の資金ニーズへの支援を継続するとした。

恒大は提出文書で、オフショア債務に関して「実行可能な再編計画」を策定するために債権者と積極的に対話する考えだと表明した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産が追浜工場の生産終了へ、湘南への委託も 今後の

ビジネス

リオ・ティント、鉄鉱石部門トップのトロット氏がCE

ワールド

トランプ氏「英は米のために戦うが、EUは疑問」 通

ワールド

米大統領が兵器提供でのモスクワ攻撃言及、4日のウク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中