最新記事

子供

親と生き別れ米国へ 再会待ち望むアフガニスタンの子どもたち

2021年11月16日(火)16時35分

前出のミシガン移民権利センターのバネガス氏によれば、ミシガン州内のスター・コモンウェルス緊急保護施設は現在126人の子どもを預かっており、9日の時点ではそのうち27人が40日以上収容されているという。

里親として候補に挙がる家庭があっても、多くは子どもたちの母国語を話せるわけではなく、アフガニスタンの慣習にも馴染みがない、と支援者らは語る。

複数のアフガン系米国人団体では、子どもを引き取ってくれる人々を地域で見つけたにもかかわらず、障害に突き当たった。里親の認可取得のための州レベルの手続きが面倒で時間を要するものだったのだ。これらの団体は11月3日に連名でHHSに書簡を送った。ロイターが閲覧したところでは、HHSに対し、「里親制度や支援、人道的理由による臨時入国許可等、親子の再会や里親あっせんのプロセスを迅速かつ簡明なものにする」ことで、子どもが直面している「疎外、不安、喪失、悲しみ」を最小限に抑えるよう求めている。

HHSは、保護施設と協力しつつ設備が文化的に適切であるよう配慮し、トラウマを負った子どもに心理的なケアを提供しているとした。また、子どもの居場所については国外の親の希望を反映するよう努めているとも説明した。

子どもたちの苦悩

子どもたちは、親の安否が分からないという苦悩に加えて、望んだわけでもない移住のショックにも苦しんでいる。サダム・アジズさん(15)もその1人だ。サダムさんも両親と一緒に移動するものと思っていたのに、カブール空港で長時間待機しているときに水をくみに行ったところ、両親と離ればなれになってしまった。彼が水を持って戻ってきたとき、家族の姿はなかった。

米ワシントン州に住む伯父ジャマルディン・ロハニさんによれば、家族を見失ったサダムさんは空港にいた米兵に助けを求めた。米兵らもアジズ一家を見つけられなかったため、サダムさんにカタール行きの便に搭乗し、そこで両親を探すよう指示したという。

年齢のわりに幼い顔付きできゃしゃな体格のサダムさんは、カタールに到着すると、保護者のいない移民児童のための施設に移された。

ロハニさんが最初に甥の所在を知ったのは、国連児童基金(ユニセフ)からの電話だったという。電話は、サダムさんが独りぼっちでカタールにいる、と告げた。ユニセフにもロハニさんにも、サダムさんの両親がどこにいるのかはまったく分からなかった。

「3日間、眠れなかった」とロハニさんは言う。

ロハニさんはようやく、自身の弟であるサダムさんの父親は無事だが、前政権と米軍に協力していたため、アフガニスタン国内で潜伏生活を送っているという情報を得た。

サダムさんには、ロハニさんを頼る以外の道はなかった。伯父といっても、もう何年も会っていなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ミネソタ州に兵士1500人派遣も、国防総省が準備命

ワールド

EUとメルコスルがFTAに署名、25年間にわたる交

ワールド

トランプ氏、各国に10億ドル拠出要求 新国際機関構

ワールド

米政権、ベネズエラ内相と接触 マドゥロ氏拘束前から
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 5
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 6
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 7
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 10
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中