最新記事

中国

中国共産党、金融部門の汚職調査に着手 規制機関や国有銀行など対象

2021年10月13日(水)10時19分
北京の中央規律検査委員会が入る建物

中国共産党の中央規律検査委員会が、党幹部の汚職・腐敗取り締まりに向け金融セクターに大規模な調査を開始、手始めに銀行保険監督管理委員会(銀保監会)に約2カ月にわたる審査に入った。写真は北京の中央規律検査委員会が入る建物。2018年2月撮影(2021年 ロイター/Jason Lee)

中国共産党の中央規律検査委員会は、金融セクターに対する大規模な汚職・不正取引の調査を開始した。中国人民銀行(中央銀行)、銀行保険監督管理委員会(銀保監会)、証券取引所、銀行、資産運用会社など20以上の機関に約2カ月にわたる審査に入った。

金融セクターの一斉調査は2015年以来となる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は11日、関係者の話として、習近平国家主席が国有銀行やその他の金融機関がこれまでに大手の民間企業と構築した関係を注視していると報じた。

中規委は12日に出した声明で、今回の審査は金融機関および規制機関内に設置された共産党委員会の包括的な「政治的調査」だと説明した。

中規委の調査担当者は規律違反を示すものがないか調べるとした。規律違反は汚職を意味する。

中規委の趙楽際書記は先月、計25の国有金融機関と規制機関における党組織の徹底調査を呼び掛けていた。

独立系調査会社プレナムのパートナー、Feng Chucheng氏は「今回の中央政府による審査は、習主席による無秩序な資本拡大阻止への呼び掛けを強調するものとなるはずだ」と指摘。

昨年の金融会社アントなどの新規株式公開(IPO)や今年の不動産市場を巡る一連の問題を受け、「党指導部は金融のシステミックリスクにはトップダウン型の管理が必要だと気付いたのだろう」と分析した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・中国の不動産バブルは弾けるか? 恒大集団の破綻が経済戦略の転換点に
・中国製スマホ「早急に処分を」リトアニアが重大なリスクを警告
・武漢研究所、遺伝子操作でヒトへの感染力を強める実験を計画していた



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求 ハマスは

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中