最新記事

台湾情勢

台湾緊張、飛来した中国機の数だけでなく編成が物語る本気度

Taiwan Official Calls China Situation “Most Severe”in Decades

2021年10月7日(木)17時47分
ローレン・ジエラ

「この地域では、中国の行動に対抗できる何らかのメカニズムを構築する必要があると見て、民主主義陣営の国々が徐々に手を組み、ある種の連合を形成しつつある」と、米シンクタンク・グローバル台湾研究所の台湾駐在上級研究員J・マイケル・コールは指摘する。

アメリカは台湾と外交関係を断ってからも、引き続き政治的・軍事的な支援を行なってきたが、「中国が攻めてきたら守ってやる」と台湾にはっきり約束したわけではない。

それでもインド太平洋地域における米軍の活動は活発化していて、それに対抗して中国軍の行動も増えていると、中国陸軍の元大佐で、北京在住の軍事コメンテーターであるYue Gangは言う。

「バイデン政権になってから、多数の軍艦や軍機を派遣し、同盟国との連携を誇示して、盛んに中国を牽制するようになった。中国としては『われわれの力を見くびれば痛い目にあう』とアメリカに知らせようとしているのだろう」

中国軍機が台湾のADIZに進入すれば、台湾はそのたびにスクランブル(緊急発進)をかけねばならず、装備も人員も消耗し、防衛能力が低下すると、Yueは指摘する。「軍用機は飛び立つたびに、少しずつエンジンの寿命が縮む」

狼少年効果も狙う?

ADIZ進入は台湾をイラつかせるだけでなく、中国軍のパイロットを優位にし、「中台統一の最後の手段として中国が武力行使に踏み切った場合」にも、またいつもの挑発かと思わせて、台湾の意表を突くことができると、グレアムは指摘する。

もっとも、今のところ中国がすぐにも「最後の手段」に出る可能性は低いというのが大方の見方だ。

「(ADIZ進入は)どちらかと言えば心理的な作戦で、『台湾にこれ以上近づくな』と、アメリカに警告するためのシグナルと見ていい」と、マストロは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア高官、和平案巡り米側と接触 協議継続へ=大統

ワールド

ゼレンスキー氏、和平巡る進展に期待 28日にトラン

ワールド

前大統領に懲役10年求刑、非常戒厳後の捜査妨害など

ワールド

中国、米防衛企業20社などに制裁 台湾への武器売却
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 7
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中