最新記事

山火事

米西海岸の大規模火災、原因は放火だった? 

2021年10月6日(水)15時40分
青葉やまと

状況を考慮し、通常よりも重い最大9年の実刑判決が下る可能性がある REUTERS/Brittany Hosea-Small

<カリフォルニア州北部で9月下旬、今年最悪レベルの山林火災が発生。発火装置を所持した容疑者の身柄が確保され、放火説が濃厚に>

米カリフォルニア州北部、豊かな自然と野生生物に囲まれたレディングの郊外で9月22日、大規模な森林火災が発生した。高気温、乾燥、強風という条件を受けて火は勢いを増し、およそ34平方キロメートルが焼失した。

カリフォルニア州森林保護防火局(カルファイア)など1800名の作業員が消火活動にあたり、12日ほどを経ておおかた鎮火している。一時は2000棟を超える建物への延焼が懸念される事態となり、カリフォルニア州知事が現地シャスタ郡を対象に非常事態を宣言した。米NBCは延焼中の9月28日、「同州で今年最も破壊的な火災のひとつになりつつある」と報じた。

この火災について、出火原因が熱波による自然出火ではなく、放火によるものだった可能性が浮上している。カルファイアは10月1日、同州パロアルト在住の30歳女性が放火行為を行なった疑いがあると発表した。女性は勾留・起訴されている。

出火地点付近で不審な人物を目撃

本件の出火日当日、現地企業の従業員が不審な行動を目撃していた。ワシントン・ポスト紙によると9月22日、レディング北部の石切場付近で木々が燃えているのが目撃され、調査のためカルファイア職員が現場に駆けつけた。

石切場の労働者に聞き取りを実施したところ、出火当日の朝9時ごろに場内に白人女性が不法に侵入し、不審な行動をしていたとの証言を得た。私有地に立ち入っている旨を現場監督が警告したが、女性は無視したという。女性はCO2カートリッジと乾電池を投棄して立ち去った。カルファイア職員が女性を捜索したものの、その時点では発見に至っていない。

当日夜になると付近で再び火の手が上がり、後にフォーン・ファイアと名付けられる大規模な森林火災に発展する。現場でカルファイアが消火活動にあたったが、消火活動中の職員らに助けを求めた人物がいた。日中に不審行動が目撃されていた、問題の女性だ。サンフランシスコ・クロニクル紙は、彼女が脱水症状を訴えていたと報じている。

「発火装置」を所持

体調に問題がないことをカルファイア職員が確認し、女性の身柄は応援に駆けつけた警官に引き渡された。警察がポケットとショルダーバッグを検査したところ、ライター、圧縮CO2のカートリッジ、および白いケースが発見された。ケースについて女性は、電池を抜いて作った「発火装置」だと説明している。ケース内からは「葉からできた緑色の薬物」が確認された。女性は薬物を当日使用したと認めている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

物価は再び安定、現在のインフレ率は需給反映せず=F

ワールド

ハセット氏のFRB議長候補指名、トランプ氏周辺から

ワールド

ゼレンスキー氏と米特使の会談、2日目終了 和平交渉

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 6
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 10
    世界の武器ビジネスが過去最高に、日本は増・中国減─…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中