最新記事

山火事

米西海岸の大規模火災、原因は放火だった? 

2021年10月6日(水)15時40分
青葉やまと

米ABC系列の地元TV局KRCRは、女性が所持していたCO2カートリッジが第1出火地点に投棄されたものと一致したと報じている。

ある警察関係者は、放火犯は短時間に複数の地点に着火する傾向があると指摘する。女性が日中の石切場に次いで別の地点でも放火し、フォーン・ファイアを招いたとの見方が濃厚となっている。CBSサクラメントによると女性は身柄を警察に拘束され、重放火罪で起訴された。

汚染された水を飲もうと

女性は容疑を否認し、奇妙なことに、クマの尿混じりの水を飲もうとしていたと話している。地元紙レコード・サーチライトが入手した捜査資料によると、容疑者の女性はカルファイアの調査員に対し、カナダへ向けてハイキングをしている途中だったと語っている。

途中、喉の渇きを覚えて水を探したところ、干上がった小川のそばに水溜まりがあることに気づいたという。彼女はそれを熊の尿が混じった水だと考え、ティーバッグでろ過しようとしたもののうまくいかなかった。そこで水を沸騰させて殺菌するために火を起こそうとしたが、木々が湿っていて着火には至らなかったと述べている。結局のところ浄化を諦め、水をそのまま口にしたという。

その後山道を登りつづけていたところ煙が見え、飛行機がやってきて(消火剤とみられる)ピンク色のものを撒いたと女性は述べている。歩き続けたが茂みにはまって身動きが取れなくなり、カルファイア職員に助けを求める運びとなった。

Woman charged with starting California's Fawn Fire while trying to boil water


最大9年の実刑か

犯行当時カリフォルニア州では、多発する森林火災を受けた非常事態宣言が出されていた。状況を考慮し、通常よりも重い最大9年の実刑判決が下る可能性がある。シャスタ郡検察は、女性が前夜にも市内で別の火災を起こしたとみている。

ニューヨーク・ポスト紙は、女性はビジネス向けSNS「LinkedIn」のプロファイル上において、「シャーマン」を自称していると報じている。本人は裁判で無職だと述べ、米各メディアは元ヨガインストラクターとしての顔を取り上げている。過去には大学院の研究助手、製薬関連の研究機関、化学と生物学の個別指導教師などの経歴を持つ。

本件以外にも、ストレスや精神上の問題などによる放火は多い。カリフォルニア州だけで今年に入って100人以上が森林への放火容疑で逮捕されている。NBCは、山火事全体のおよそ10%が放火によるものだと報じている。放火によるものか否かは現地調査を行わないと断定できないため、実際には20%ほどの割合を占める可能性があると指摘する専門家もいる。

今夏は異常気象による山火事が多発したが、一部には人為的な火の手が混じっているようだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

午前の日経平均は反落、一時500円超安 米株安や円

ワールド

英仏米、ガザ「国際安定化部隊」派遣に向け国連安保理

ビジネス

JPモルガン、欧州と中南米の銀行に注目=CEO

ワールド

シンガポール非石油輸出、9月は前年比+6.9% 予
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 7
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 2
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中