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中台関係

習近平「台湾統一を平和的に実現」と強調 辛亥革命110年で演説

2021年10月10日(日)17時35分
中国の習近平国家主席

中国の習近平国家主席(写真)は9日、北京の人民大会堂で行われた辛亥革命110周年記念大会で演説し、台湾との「統一」を平和的に実現すると訴えた。9日撮影(2021年 ロイター/Carlos Garcia Rawlins)

中国の習近平国家主席は9日、北京の人民大会堂で行われた辛亥革命110周年記念大会で演説し、台湾との「統一」を平和的に実現すると訴えた。中台関係はこのところ緊張が高まっているが、習氏は武力行使には言及しなかった。

台湾総統府は習氏の発言の直後、台湾の将来は台湾市民のみが決めるとの声明を発表し、中国側に威圧をやめるよう求めた。民主主義の台湾に対し、中国側は中国の主権を受け入れるよう圧力を強化している。

習氏はこの日の演説で、中国人民は分離主義に抵抗する「輝かしい伝統」を持っていると表明。「台湾の分離独立運動は、本土への統一を阻む最大の障壁になっている。国の活性化にとっても、隠れた最大の脅威だ」と述べた。

その上で、平和的な「統一」が台湾市民の全体的な利益にかなったものであり、中国はその主権と統一を守るとした。

さらに、「国の主権と領土保全を守るという、中国国民の強固な意志と高い能力を何者も軽視すべきではない。(台湾の)統一という歴史的任務は必ず実現されねばならない。また、必ず実現される」と強調した。

習主席は7月に行った演説でも台湾に言及しているが、その際は独立に向けた正式な動きは全て「粉砕する」と述べていた。また2019年には、台湾統一のための武力行使に言及している。

今回の演説では比較的穏健な表現が使われたが、台湾側は反発している。

総統府は、台湾は独立主権国家であり、中華人民共和国の一部ではないと表明。中国側の「一国二制度」の主張を退けた。

台湾で対中国政策を担当する大陸委員会は別の声明で、「侵入や嫌がらせ、破壊といった挑発的な行動を放棄」し、話し合いに戻るよう呼びかけた。

10月1日以降、中国空軍機は4日連続で台湾の防空識別圏に侵入したが、習氏は演説では言及しなかった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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