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地方移住で生活費は安くなる......とは限らない

2021年9月29日(水)14時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

しかし47都道府県の県庁所在地のデータを眺めると、東京区部よりも割高なエリアもある。4つの費目の合算を平均世帯人員で割って、1人あたりの基礎生活費の近似値とする。東京区部は、4つの費目の合算が81.25万円で世帯人員は2.97人なので、1人あたりの基礎生活費は27.36万円となる(鹿児島市は24.62万円)。

<表1>は、全ての県庁所在地を高い順に並べたランキングだ。

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東京がトップではない。上位でもなく、真ん中よりちょっと上の辺りだ。首位は住居費と自動車関連費が共に高い福岡市で、2位は札幌市、3位は鳥取市となっている。鳥取市では、自動車関連の支出が飛び抜けて高い(年間55.8万円)。

右下を見ると、関西圏では基礎生活費が安い。京都市は19.14万円で、福岡市の半分くらいだ。学生の街だが、2人以上世帯のデータなので単身学生は除かれている。

ここで紹介したのは各県の県庁所在地、すなわち地方都市のデータだ。郡部では、光熱・水道費や自動車関連費はもっと高くなると思われる。随所で言われているが、移住はまずは地方都市からで、それを経て郡部に移るという2段階を踏んだ方が良さそうだ。郡部には「濃い人間関係」もあり、都市部の生活様式に馴染んだ人がいきなり飛び込むと戸惑うことも多い。

『家計調査』のデータだが、生活費が「都市>地方」とは単純には言えないことがわかる。冒頭の日経新聞でも言われているように、移住しようとしているエリアのデータをまず調べてみた方がいい。

<資料:総務省『家計調査』(2020年)

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