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日本の自民党次期総裁候補を中国はどう見ているか?

2021年9月9日(木)12時44分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

●高市氏はこれまでにも中国脅威論を振りかざして、中国に対する中傷を何度も行ってきた。 今年8月(出版)の月刊誌「Hanada」(10月号)のインタビューで、高市氏は「中国の軍事費増加」を「日本の防衛リスク」と位置づけた。 また、先月、秋の中間国会で「中国政府による新疆、内蒙古、チベットでの人権侵害を非難する決議」(マグニツキー法制定)を行う意向を表明した(筆者注:環球網が月刊誌「Hanada」を熟読しているというのは、むしろ称賛に値する)。

●高市氏は、自衛隊にさらに大きな権限を与えるための法改正を提唱し、日本の侵略の歴史に対する反省が欠如しており、靖国神社への参拝を繰り返し、「慰安婦」の強制徴用の事実を認めていない。

この最後の項目を以て、高市氏を「狂人」と言っているとすれば、大変結構なことではないかという感想を持つ。

岸田文雄候補に関して:強い男になって戻ってきたはずが、ビビったのか?

9月7日、環球網は<"野心と欲望"を顔に書いてあるような岸田文雄は"中国との対決という(偽物の)手段を使って"首相の玉座を手にしようとしている>という、なんともややこしい見出しで表現している。ここにある"中国との対決という(偽物の)手段を使って"という言葉の元の中国語は「中国への当り屋」という表現なのだが、これは「車に自らぶつかっていって、轢かれたので賠償金を出せ」という「当り屋」のことである。

つまり、「中国の悪口を言うふりをして選挙民の票を得ようとしている」という事が言いたいわけで、日本人は「彼を対中強硬派だと思うな」あるいは「彼の言葉に騙されるな」と思っているということを表現したいようだ。

また、何としても自民党の総裁の座を射止めて、今度こそは首相の玉座を狙っているために、若者に対しておもねり、ユーチューブで意見交換をしたりして「バナナはおやつだと思うか?」という質問にも真面目に答えて人気を集めようとしていると、環球網は評している。

今までは、どちらかと言うと優柔不断なこところがあったが、今度はこれまでの姿勢を一新させて、パンチのきいた力強い印象を与えようとしていると9月7日の環球網は書いているが、ところがその一方で別の環球網の記者が<ビビったか?森友学園スキャンダルに関する岸田文雄の最新の発言は「調査してほしいとは言ってない」>と、皮肉たっぷりの言葉で、岸田氏が「テレビにおける前言を翻した」と報道しているのである。

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