最新記事

オーストラリア

「涙が溢れそうに」 ロックダウンで叔母の葬儀逃した羊飼い、羊で追悼メッセージ 豪

2021年9月6日(月)16時30分
青葉やまと

続いて控えめなジャクソン氏は、叔母が空から見たかもしれないので「まあ良しといえるかもしれないですね」と自己評価すると、司会者は「まずまずなんてものじゃないですよ、本当に素晴らしいことですよ」と応じた。司会が「(牧羊)犬は手伝ってくれました?」と水を向けると、実はドローンが上空で待機できるまで羊が餌に飛びつかないよう、犬たちが見張っていたのだとジャクソン氏は明かし、「犬たちをクレジットに載せてもいいかもしれませんね」と笑った。

失敗にめげず試行錯誤

羊たちは驚くほどきれいなラインを描いているが、実はスマートに展開する動画の背後には、多くの試行錯誤があったようだ。豪ニュースサイトの『news.com.au』によると、ハート型を描くはずの線が最初の撮影ではあちこち歪み、残念なことに絵文字の「うんち」のような形に仕上がってしまったという。飼料をハート形に地面に敷くことで羊たちを誘導し、3〜4回の試行の末にやっときれいなラインを出せるようになった。

青年は叔母の葬儀以前から、たびたび牧場でのアートを試みている。過去の干ばつや最近のロックダウンなど困難な状況が起きるたび、少しでも明るい気分を保とうと、羊の助けを借りたチャレンジに勤しんできた。これまでにも豪公共放送局のABCやラグビーチームなどのロゴを牧場に描いており、叔母も生前は彼のアートの大ファンだったという。

新しいことが大好きなジャクソン青年は、5代続く農場で働くと同時に、音楽シーンでも活躍している。2017年には豪ABCのラジオ部門であるトリプルJが主催したエアDJ大会において、全国チャンピオンの座を勝ち取った。既存の枠にとらわれない発想を持つ彼だからこそ、困難な状況を逆手に取った動画で人々の心を動かすことができたのかもしれない。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ゼレンスキー氏「ロシアに戦争終結の用意ない」、制裁

ワールド

金地金、関税の対象にならず=トランプ氏

ワールド

ロ・ウクライナ、和平へ「領土交換」必要 プーチン氏

ワールド

トランプ氏「どうなるか見てみよう」、中国との関税停
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入する切実な理由
  • 2
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋…
  • 7
    「靴を脱いでください」と言われ続けて100億足...ア…
  • 8
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 10
    「古い火力発電所をデータセンターに転換」構想がWin…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 3
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 6
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 7
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 8
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中