最新記事

中国

「社会に悪影響な配信者」は問答無用で追放、人気の女性配信者を排除した中国当局

Chinese TikTok Star Guo Laoshi Banned as Country's Entertainment Purge Continues

2021年9月3日(金)18時01分
ジョン・フェン
TikTok

5./15 WEST -iStock

<「お下品」な動画で人気を博していた女性のアカウントが「永久停止」に。ネットの不適切コンテンツ一掃を進める当局の粛正だと話題に>

TikTokの中国本土版「抖音(ドウイン)」で700万人以上のフォロワー数を誇る型破りなライブ配信者が9月2日、何の前触れもなくソーシャルメディアから削除された。中国の規制当局は現在、国内のエンターテインメント業界の粛清を進めている真っ最中だ。

ここ1週間ほどの間にソーシャルメディアで起きている大きな変化を見守ってきたユーザーたちは、中国共産党の幹部にとって「正しい」エンターテインメントとは何なのかと、首を傾げ始めている。

20代の配信者であるグオ・ラオシ、通称「グオ老師(日本語で先生の意)」は、ドウインをはじめとするソーシャルメディアでカルト的な人気を博していた。その投稿スタイルは、いわゆる「アンチ・セレブリティ」。ソーシャルメディアの世界での常識に縛られず、すっぴんで動画に登場し、型にはまった女性配信者のスタイルを拒絶していた。

中国中部に位置する湖北省出身のグオは、流行の音楽に合わせてリップシンクしたり、食べたことのないものに初挑戦して変な反応をしたりする姿を配信していた。短い動画のなかで、自分の足の臭いを嗅いだり、コミカルなパフォーマンスをしたりして話題になることもあった。

700万人を超えるグオのフォロワーが、彼女の身に起こった不運を知ったのは、中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」のグオ個人のアカウントに、1枚のスクリーンショットが投稿されたときだ。そこには、ドウインの「コミュニティガイドラインに違反した」ため、アカウントを「永久停止」する旨が書かれていた。

グオは、自分がどの規約に違反したのかわからないとして、こう投稿している。「説明してほしい。私は無実だ」。その直後には、ウェイボーのアカウントも停止されたが、それが永久的措置なのかどうかは不明だ。

ファン以外からも「厳し過ぎる」の声

中国ではこのところ、インターネットやセレブ文化の一斉粛清が進められており、それを知るユーザーたちは、グオに起きたのはこの粛清の一環だったと見ている。しかし、ファンではない人たちの一部からも、こうした一斉規制は度を越しているのではないかという疑問の声があがっている。

あるユーザーは、「どうしてグオを禁止するの? 彼女は何も盗んでいないし、人をだましたわけでもない。グオのコンテンツが自分にとって価値がないと思うのなら、見なければいい」と投稿した。別のユーザーは「バイラルなインターネット世界全体が沈下しつつある」とコメントした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インフレに忍耐強く対応、年末まで利下げない可能性=

ワールド

NATO、ウクライナ防空強化に一段の取り組み=事務

ビジネス

米3月中古住宅販売、前月比4.3%減の419万戸 

ビジネス

米新規失業保険申請、21万2000件と横ばい 労働
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画って必要なの?

  • 4

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    【画像】【動画】ヨルダン王室が人類を救う? 慈悲…

  • 7

    ヨルダン王女、イランの無人機5機を撃墜して人類への…

  • 8

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 9

    インド政府による超法規的な「テロリスト」殺害がパ…

  • 10

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中