最新記事

アメリカ政治

バイデン、アフガン駐留米軍撤収を正当化「希望者の98%が退避できた」

2021年9月1日(水)11時31分
バイデン大統領

米国のバイデン大統領は31日、国民に向けたテレビ演説を行い、アフガニスタンから駐留米軍を撤収した自身の決断を正当化し、撤収の決定に対する責任を取ると述べた。写真はバイデン大統領(2021年 ロイター/Carlos Barria)

米国のバイデン大統領は31日、国民に向けたテレビ演説を行い、アフガニスタンから駐留米軍を撤収した自身の決断を正当化し、撤収の決定に対する責任を取ると述べた。

バイデン大統領は、イスラム主義組織タリバンの急激な進軍を許したアフガニスタンの旧政府を非難すると同時に、トランプ前米大統領がアフガニスタン問題で果たした役割を指摘。

トランプ氏が仲介した合意の下で「昨年、約5000人の囚人が釈放された。この中にはタリバン軍の幹部が含まれていた」とし、「私の大統領就任時には、タリバンの軍事勢力は2001年以来最強になっており、すでにアフガニスタンの半分を制圧済、もしくは制圧しつつあった」と述べた。

また、アフガニスタンから退避を望んだ米国人の98%が退避できたと表明。国内に残っている100─200人のうち、一部は退避を望んでいるとし、「こうした人達に対する期限はない。政府は退避を望む人を退避させることにコミットしている」と語った。

その上で、退避を望む米国人のほか、米国に協力した外国人が安全に退避できるよう、ブリンケン国務長官が外交努力を続けていると指摘。タリバン指導部が移動の自由を巡る確約を守らなければ、国際社会は責任を追及すると語った。

バイデン氏が8月31日に設定した撤収期限について、多くの議員の間から延期を求める声が上がっていた。これについて「任意の期限」ではなく、「命を守るため」の期限だったと説明。「この決定に対する責任を取る。一部では、大規模な退避を早い時期に開始していれば、より秩序だった形で退避が進められたはずだとの見方も出ている。だた、私は同意しない」とし、「6月、もしくは7月に退避活動を開始していたとしても、退避を望む人々が空港に押し掛けていたはずだ」と語った。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・タリバン大攻勢を生んだ3つの理由──9.11以来の大転換を迎えるアフガニスタン
・タリバンが米中の力関係を逆転させる
・<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英サービスPMI4月改定値、約1年ぶり高水準 成長

ワールド

ノルウェー中銀、金利据え置き 引き締め長期化の可能

ワールド

トルコCPI、4月は前年比+69.8% 22年以来

ビジネス

ドル/円、一時152.75円 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中