最新記事

米社会

大学レポート代筆業、コロナ特需で大儲けした筆者が見た「闇」

Learning From Cheating

2021年8月20日(金)18時26分
元レポート代筆ライター(匿名)
大学生

コロナ禍の隔離生活でやる気を失った学生も少なくない FOTODUETS/ISTOCK; PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE.

<不正なレポート代筆業で稼いだ筆者が見た、依頼人たちの意外な素顔とコロナ禍の苦しい実情>

2019年5月、私はアメリカの大学を卒業した。卒業式の舞台で、これで大学生活が終わり、いきなり失業者になるのだと覚悟したものだ。

英文学科での成績はほぼ完璧だったし、就職活動も懸命にやった。でもどこからも採用通知をもらえなかった。既に7万ドルの学費ローンを抱えていたから、大学院に進むことはあり得ない。だから取りあえず、バーテンダーのアルバイトを続けることにした。

そこに、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)がやって来た。勤めていたパブが閉店して、今度こそ本当に失業した。在宅勤務の求人に応募したけれど、手応えはなし。やることも、行く場所もなく、気分が落ち込み、毎日のように両親と口論をした。

大学時代の友達から、「アルバイトをしないか」と連絡があったのは、昨年4月末のことだ。「大学生のレポート代筆サービスを手伝っていて、代筆をしてくれる人を探しているんだ」という。

その「キラー・ペーパーズ」というウェブサイトは、コロナ禍で多くの大学がオンライン授業に移行して以来、売上高が30%も増えたという。

仕事はどんどん入ってきた

友達の連絡から24時間もしないうちに、私は面接を受け、初仕事に取り掛かっていた。課題は、「コロナ禍が大学生に与える影響について、自分を見つめて3ページのエッセーを書くこと」。報酬は40ドルだ。

仕事はどんどん入ってきた。それとともに、このビジネスを取り巻く環境がだんだんと見えてきた。「カネを払ってレポートを代筆してもらうなんて、金持ちの子供がやることに違いない」と多くの人は思うだろう。そのイメージはあながち的外れではない。

「うちは両親とも医者だから、結構金持ちだ」と、臆面もなく言う学生もいた。本人は何もせず、親があれこれ指示してくるケースもあった。「うちの子はラクロス部の部員だから、ここにスポーツの要素を加えてちょうだい」と言ってきた母親もいる。

だが、怠惰な学生がいる一方で、複雑な事情を抱える学生も大勢いた。むしろ私の依頼人の多く(というか、ほとんど)は金持ちどころか、生活費を稼ぐのに忙しいからこそ、レポート代筆サービスを利用していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

湾岸諸国の航空会社、アジア路線の優位低下へ=ルフト

ビジネス

豪中銀、連続利上げ僅差で決定 方向性の見解は全員一

ビジネス

日経平均は4日続落、朝高後に軟化 原油高が重し

ビジネス

スイス中銀、25年に外貨購入拡大 米関税でフラン高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在の価値でどれくらい? 誰が何のために埋めた?
  • 3
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 9
    「危険な距離まで...」豪ヘリに中国海軍ヘリが異常接…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中