最新記事

東京五輪

東京五輪はアスリート生命を脅かすスーパースプレッダーになる?

A Superspreader Olympics Could 'Ruin' Athletes' Careers

2021年7月21日(水)19時03分
カシュミラ・ガンダー
成田空港に到着した中国選手団

厳重なコロナ警戒態勢を敷く成田空港に到着した中国選手団(21年7月19日) Kim Kyung-Hoon- REUTERS/

<東京五輪関係者や選手村での感染例が相次いで報告されるなか、専門家は大会中の大規模クラスター発生を懸念し始めた>

東京五輪の開幕が目前に迫るなか、この大会は新型コロナウイルスの「スーパースプレッダー(強力な感染源)」イベントになる可能性があり、大会に参加したアスリートが万一感染して後遺症が長引いた場合、選手生命が危うくなるリスクがある、と専門家たちは警告している。

リスクが顕著になり出したのは、開会式の数日前だ。大会期間中、選手と関係者あわせて1万1000人が滞在する東京・晴海の選手村では、このところ感染が相次いで報告されている。選手村で初の新型コロナ陽性患者が確認されたのは7月17日で、翌18日には南アフリカのサッカー選手2名の陽性が判明。続いて19日にもチェコのビーチバレーの選手が陽性判定を受けた。

IOC(国際オリンピック委員会)によると、海外の選手たちの来日が本格化した7月1日以降、選手や日本人も含むスタッフの陽性者数は58人に達した。

19日には、千葉県でトレーニング合宿を行っていたアメリカの最年少体操選手ココ・ガウフ(17)が検査で陽性となった。

感染拡大を防ぐため緊急事態宣言発令中の東京都の感染拡大も止まらず21日発表の新規感染者数は年初以来の1832人に達した。東京のオリンピック競技は無観客で実施されると決まっているが、日本国民のオリンピック開催反対の声は強く、20日に発表されたグローバル市場調査会社イプソスの世論調査では、「オリンピックを開催すべきでない」という回答が78%を占めた。

クラスターのリスクは大

選手や大会関係者の新型コロナ感染が相次いだ後も、IOCのトーマス・バッハ会長は、この大会は「安全、安心」だと述べた。しかし東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は、20日の記者会見で、ウイルスの感染がさらに悪化した場合について問われた際、大会を中止する可能性も排除しなかった。

オーストラリアのビクトリア大学健康・スポーツ学部の国際スポーツビジネス科ハンス・ウェスタービーク教授は本誌の取材に対し、「東京で報告されたオリンピック参加選手の感染は、クラスターの始まりを示している可能性が最も高い」と語った。他の専門家は、クラスターと認定するにはまだ症例が少なすぎるし、因果関係が明確ではないとしつつも、最終的に感染爆発につながる可能性はあると語っている。

「選手とチーム関係者が常時、距離的に近い関係にあり、居住スペース、食堂、練習場、競技場などを動き回り、交流することを考えると、ウイルスが急速に広がる可能性が高い」とウェスタービークは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ドイツ各地で公共交通機関の運行停止、数万人規模のス

ワールド

新START失効なら世界が警戒すべき事態=ロシア前

ビジネス

豊田織機のTOB価格「変更する意向なし」=トヨタグ

ワールド

中国春節帰省・旅行ラッシュ始まる、連休長期化で消費
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 7
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 8
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中