最新記事

デルタ株

インド型変異株(デルタ株)は従来株と症状が違うので要注意

Main Delta COVID Variant Symptoms May Be Different From Original Virus

2021年6月15日(火)16時16分
アリストス・ジョージャウ
新型コロナウイルス(イメージ)

デルタ株にはワクチン1回では効きにくいという特徴もある(写真はイメージ) eakrin rasadonyindee-iStock

<イギリスの全面制限解除が1カ月延期される原因となったデルタ株は、感染力が従来の2倍であるうえ、いちばん多い症状が頭痛らしい>

インドで最初に確認された新型コロナウイルスの変異株「デルタ株」が引き起こすおもな症状が、従来の系統のウイルスに感染した人とは異なる可能性があることが、研究により示唆された。

「B.1.617.2」とも呼ばれるデルタ株とそのサブ系統は、これまでに70か国以上で見つかっており、一部の地域では急速に広がっている。たとえば英国では、いまや新規感染例の90%以上を占めるようになっている。

症状に関する知見は、アプリを用いて新型コロナウイルス感染症の症状を調査し、感染の広がりを追跡している「ZOE COVID症状調査」で得られたものだ。このプロジェクトは、マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学T・H・チャン公衆衛生大学院、キングズ・カレッジ・ロンドン、スタンフォード大学医学部の研究者らが、ヘルスサイエンス企業ZOEと共同で立ち上げた。

ZOE調査に携わっているキングズ・カレッジ・ロンドンのティム・スペクター教授によれば、このアプリによって英国で収集されたデータは、デルタ株のおもな症状が、従来の症状とは若干異なる可能性を示唆しているという。

最も多い症状は「頭痛」?

米疾病予防管理センター(CDC)によれば、新型コロナウイルス感染症でもっともよく見られる症状は、発熱、乾いたせき、疲労感とされている。

だが、スペクターによれば、デルタ株が主流になっている英国では、頭痛、のどの痛み、鼻水がもっとも多くなっているようだという。

「すべてのアプリユーザーのおもな症状を調べてきたが、認識すべききわめて重要な点は、5月はじめ以降の症状が以前と同じではなくなっていることだ。もっとも多い症状は頭痛で、のどの痛み、鼻水、発熱がそれに続いている」と、スペクターはZOEのビデオアップデートのなかで述べている。

「咳は5番目で、比較的少ない。嗅覚の喪失はもはやトップ10にも入っていない。この変異株は、以前とは若干異なる挙動をするようだ」

また若い人では、デルタ株の症状は「ひどい風邪」によく似ているという。

「(そうした症状の変化は)世間では認識されていないし、政府の情報のなかでも伝えられていない。そのため、自分はなんらかの季節性の風邪をひいただけだと考えて、そのままパーティへ出かけ、感染を広めてしまうおそれがある」とスペクターはビデオのなかで述べている。

デルタ株の感染力は従来株の2倍。「きわめて感染しやすい」とスペクターは言う。「とてもくっつきやすいウイルスだ。(ワクチン接種が進んでいることにより)実際に攻撃できる人が少なくなっているのに、短期間でこれほどの感染者が出ているのはそのためだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア高官、和平案巡り米側と接触 協議継続へ=大統

ワールド

ゼレンスキー氏、和平巡る進展に期待 28日にトラン

ワールド

前大統領に懲役10年求刑、非常戒厳後の捜査妨害など

ワールド

中国、米防衛企業20社などに制裁 台湾への武器売却
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 7
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 8
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中