コラム

「ならず者国家」への道なのか...トランプ、国連気候変動条約など66機関から一斉脱退

2026年01月08日(木)16時45分
トランプ

トランプは気候変動より自国の利益を優先しているようだ Shutterstock AI-shutterstockQ

<気候変動の科学的根拠を支えるIPCCや国連大学などを「国益に反する」と一蹴。孤立を深める米国の先に待つものとは>

[ロンドン発]パリ協定離脱表明から約1年、ドナルド・トランプ米大統領が1月7日、パリ協定の法的根拠である国連気候変動枠組条約を含む66の国際機関から脱退すると宣言した。1992年、米上院がこの条約を批准しており、トランプ氏が一方的に破棄できるかは不透明だ。

【動画】66の国際機関から脱退するアメリカ、混乱する国際協力体制

66の機関には国連大学など国連組織のほか、グローバル・テロ対策フォーラム、サイバー専門知識に関するグローバル・フォーラム、欧州ハイブリッド脅威対策センター、大西洋協力のためのパートナーシップ、ウクライナ科学技術センターも含まれる。


トランプ氏は昨年2月、特定の国連組織からの脱退と資金提供の停止、すべての国際機関への米国の支援の再検討を命じた。調査の結果を踏まえ「メンバーに留まり、支援を提供することは米国の利益に反する」と判断した国際機関からの脱退と資金提供の停止を速やかに進める。

「進歩主義的イデオロギーに支配され、国益から切り離されている」

マルコ・ルビオ米国務長官は声明で「平和と協力のための実務的な国際機関の枠組みとして始まったものが、今では地球規模の統治という巨大構造に変貌してしまった。それはしばしば進歩主義的なイデオロギーに支配され、国益から切り離されている」と脱退の理由を説明した。

米国は国連気候変動枠組条約から脱退する世界で唯一の国となる。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)からも脱退するため、米科学者団体「憂慮する科学者同盟」気候・エネルギープログラムのデルタ・マーナー博士はこんな懸念を示した。

「トランプ氏は米国をIPCCから脱退させることで、世界で最も信頼されている気候科学の知見への公式な米国の関与を意図的に遮断している。米国は世界中の政府が頼りにしている科学的評価を導く手助けをすることがもはやできなくなる」

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米CB消費者信頼感指数、2月は91.2に上昇 雇用

ワールド

ウクライナ大統領「独立守った」、ロ侵攻から4年 G

ワールド

米、重要鉱物価格設定にAI活用検討 国防総省開発

ビジネス

AIが雇用市場を完全に覆すことはない=ウォラーFR
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 6
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 7
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 8
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 9
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story