最新記事

東京五輪

ホテルで24時間監視、食事はカップ麺の「おもてなし」 欧州選手団がマジギレの東京五輪プレ大会

2021年5月15日(土)19時15分
さかい もとみ(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

しかしこの報道をめぐり、ある選手は「不愉快」という反応を示した。「日本側の徹底した感染防止措置のおかげで、私たちはコロナ禍以前と同じように練習ができると考えた。選手が密に並んでいたと批判されるのは心外です」

あるチームスタッフからもらった写真には、記者らが間を空けることなく取材にいそしむ様子が映っていた。おそらくメディアは「密」が生じた状況について、直接、選手に質問していないのだろう。「選手らのことを批判する前に、日本の記者の皆さんが密を是正すべきではないでしょうか」。このスタッフは皮肉まじりに指摘していた。

運営側のレベルが未熟としか言いようがない

今回紹介した大会の状況について、2012年のロンドン五輪の際、「市民に公開されたプレ大会は全部行った」という60代女性に意見を求めてみた。

「プレ大会は本来、本大会と気候が同条件の1年前に行われるものですが、コロナの影響でそれは無理だった」と同情を寄せるものの、「すべての条件を本番とより近い形に高めて実施されるべき。会場が整備されている前提で、選手たちが本番に向けた微調整を行う機会だと思います。でも、主催者が飲食物で選手の足を引っ張るなんて、運営側のレベルが未熟としか言いようがないですね」と批判。

そしてこうも付け加えた。「もう開幕まで2カ月ほどしかないのに、食事の手配もきちんとできない人たちがどうやって本番をやるのでしょうか」

幸いにも大会に関係した438人のうち、コロナの陽性者は水際対策で見つかった1人でとどまり、表向きには成功裏に終了した。しかし、選手対応の最前線は多くの課題を残す結果となっている。

「きっと中止だろう」という"やってもムダ"という意識が、開催準備を進めるスタッフの心にブレーキをかけているように見えた今回の飛び込みW杯。五輪開幕まであと2カ月余り、選手らが安心できる形にこぎつけるにはかなりの追い込みが必要そうだが、果たしてどう決着を見るのだろうか。

さかい もとみ(さかい・もとみ)

ジャーナリスト
1965年名古屋生まれ。日大国際関係学部卒。香港で15年余り暮らしたのち、2008年8月からロンドン在住、日本人の妻と2人暮らし。在英ジャーナリストとして、日本国内の媒体向けに記事を執筆。旅行業にも従事し、英国訪問の日本人らのアテンド役も担う。■Facebook ■Twitter


※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら
presidentonline.jpg




今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ゴールドマン、企業ローンの下落に賭ける商品 ヘッジ

ビジネス

ネクスペリア中国子会社、独自半導体の生産開始発表

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、自律反発で一時1600円

ビジネス

インフレ期待横ばい、中東紛争の影響は織り込まず=N
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目のやり場に困る」密着ウェア姿がネットを席巻
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 6
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 7
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    プーチンに迫る9月総選挙の暗雲
  • 10
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中