最新記事

中東

イスラエル、ハマス幹部16人を殺害 パレスチナ側はロケット弾で応酬

2021年5月13日(木)09時49分

イスラエルは12日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスのメンバー16人を殺害したと発表した。パレスチナ自治区ガザのようす。11日撮影(2021年 ロイター/Suhaib Salem)

イスラエルは12日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスのメンバー16人を殺害したと発表した。これに対し、パレスチナ武装勢力はイスラエルにロケット弾を撃ち込むなど応酬が激化。米政府は特使を派遣し事態沈静化に乗り出した。

ガザ保健省によると、ガザ地区ではこの日の空爆で24人が死亡。空爆が始まった10日以降では少なくとも65人が死亡した。一方、イスラエル側の死者は6人となった。

イスラエルのネタニヤフ首相は殺害したハマスメンバーにはガザ市の旅団長が含まれると発表。「これは始まりに過ぎない。われわれは彼らが夢にも思わなかった攻撃を行うだろう」と述べた。

発表直後、イスラエルのアシュドド市に新たなロケット弾が撃ち込まれた。またイスラエルメディアによると、ハマスがテルアヒブ地区への新たな砲撃を準備しているという。

ハマスは声明で旅団長と「他の指導者および聖なる戦士たち」の死亡を確認。ハマスの指導者イスマイル・ハニヤ氏は「敵対国との衝突に終わりはない」と述べた。

ブリンケン米国務長官はイスラエルとパレスチナに対し、「悲惨な」暴力の沈静化を要請するためアムル副次官補(パレスチナ・イスラエル問題担当)を派遣すると発表。イスラエルには民間人の犠牲を回避するための特別な責任があるとした。

国務省によると、ブリンケン長官はこの日、ネタニヤフ首相と電話会談し、イスラエルの「ロケット弾の集中砲火」に懸念を表明。緊張緩和を改めて求めるとともに、イスラエル・パレスチナ双方での安全な生活の必要性を訴えた。

また米国防総省のカービー報道官は声明で、オースティン国防長官がイスラエル側との電話会談で、「イスラエルの正当な自衛権や国民に対する国防総省の確固たる支持を伝えるとともに、ハマスや他のテロリスト集団によるロケット弾の発射を強く非難した」と述べた。

一方、欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)は声明で「両国の民間人に影響を与えるような広範な紛争を防ぐためにあらゆる措置が講じられなければならない」とし、イスラエル・パレスチナ双方の対応を非難した。

ロシアのラブロフ外相は、問題の解決に向けロシア、米、国連、EUによる4者協議を早急に行う必要があると表明。国連のグテレス事務総長に調整役を務めるよう要請した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・【動画】ゲームにあらず、降り注ぐロケット弾を正確に捉えるイスラエルの迎撃ミサイル
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米政権、コロンビアやベネズエラを麻薬対策失敗国に指

ワールド

政治の不安定が成長下押し、仏中銀 来年以降の成長予

ワールド

EXCLUSIVE-前セントルイス連銀総裁、FRB

ビジネス

米政権、デルタとアエロメヒコに業務提携解消を命令
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 7
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中