最新記事

コロナ禍

全米各地で子どもの成績低下が深刻に コロナで長引く在宅学習が影響

2021年4月4日(日)16時03分

ジェファーソン郡の高校で英語を教えるエミリー・ブラントンさんはロイターに対し、生徒の一部はマクドナルドから(オンライン)授業にログインしてくると教えてくれた。ブロードバンド接続を利用できる場所がそこしかないからだ。家計を支えるために複数のアルバイトをしている生徒もいるという。

不登校問題を調査している組織、アテンダンス・ワークスが2月に発表したレポートによれば、コネチカット州やカリフォルニア州では、少なくとも一部の学区で常習的な欠席が急増しており、特にパンデミックによる影響を最も深刻に受けている生徒のあいだで顕著だという。

無党派の調査機関である公共教育再生センターのベサニー・グロス副所長は、「私たちが最も恐れているのは、こうした子どもたちが昨年1年間まったく学習も登校もせずに過ごしてしまったのではないかということだ」と語る。「彼らにとっての損失は本当に厳しいものであり、私たちは、そのギャップを着実に埋めることができていない」

「世代単位での不利」

学校の再開に伴い、教育関係者、専門家、政府当局者は解決策を模索している。

今月ジョー・バイデン大統領が署名した1兆9000億ドル(約209兆5700億円)規模の新型コロナウイルス追加経済対策により、「K-12(幼稚園から12年生=高校3年生)」に相当する学校には1220億ドル以上が投入され、貧困地域の支援に向けた資金も割り当てられる。各学区では、この学校向け資金の20%を、パンデミックによる学習の損失を緩和するために投じなければならない。

7州の州議会では、親が子どもの留年について判断する選択肢を与える法案を検討中である。生徒の留年については、通常は学区レベルで判断されている。

フロリダ州議会上院のロリ・バーマン議員は「まさに最終手段となる法案だ」と語る。同議員は地元の学区において、2000年秋の1学期中に評点「F」が前年比で3倍近くに増加したのを見て、こうした法案を提出した。ただし、子どもたちが留年しなくて済むよう「集中的な支援」を行う方が望ましいと同議員は言う。

ノースカロライナ州では、学業不振の生徒のために最低150時間の対面による夏季講習を各学区に要請する法案を検討中である。

同州の公共教育最高責任者を務めるキャサリン・トゥルイット氏はある声明の中で、「このパンデミックが、生徒たちに長期的な影響を与える世代単位での不利益になってはならない」と述べている。

ケンタッキー州ジェファーソン郡の教師ブラントンさんは、今年秋の最優先課題は、学習曲線のどの段階にいるかにかかわらず、生徒たちにしっかりと向き合うことだ、と語る。

「こうした子供たちには、毎年この内容を教えているのだから追いついてくれるだろう、というだけの気持ちでは接しないつもりだ」とブラントンさんは言う。

(Gabriella Borter記者、Brendan O'Brien記者、翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中東情勢、5月までに終結なら影響限定 年末株価6万

ビジネス

日銀短観、景気は緩やかに回復・中東情勢の影響注視と

ビジネス

午前の日経平均は大幅反発、5万3000円回復 中東

ワールド

英最低賃金、来年は3.7%程度引き上げ勧告の可能性
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イラン恐怖」の正体
  • 4
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 5
    年金は何歳からもらうのが得? 男女で違う「最適な受…
  • 6
    中国がイラン戦争最大の被害者? 習近平の誤った経…
  • 7
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 8
    韓国・週4.5日労働制が問いかけるもの ──「月曜病」解…
  • 9
    「え、なんで?」フライト中に操縦席の窓が覆われて…
  • 10
    北京に代わる新都市構想は絵に描いた餅のまま...大幅…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 5
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 6
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 7
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 8
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 9
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 10
    オランウータンに「15分間ロックオン」された女性のS…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中