最新記事

仮想通貨市場

コインベースがナスダック上場、時価総額は1000億ドル(11兆円)?

Coinbase, 9-Year-Old Cryptocurrency Co., is More Valuable Than Citigroup, Morgan Stanley, BlackRock

2021年4月14日(水)17時55分
マリー・エレン・カナソーラ

市場の期待上では既に大手金融機関を超えた仮想通貨取引大手コインベース Bloomberg/YouTube

<仮想通貨への成長期待を追い風に今日、ナスダック上場を果たすコインベースの株価から目が離せない>

アメリカ最大の暗号資産(仮想通貨)取引所であるコインベース・グローバルは4月14日、ナスダックに上場する。これを材料に、ビットコイン価格は過去最高に近いレベルにまで上昇しているほか、コインベース自体の企業価値も、大手金融機関を大きく上回った。

未公開株取引市場での株価を基にした上場前日のコインベースの株式評価額は1000億ドルに達し、予想される収益や株式時価総額でもシティグループやモルガン・スタンレー、ブラックロックといった大手金融機関をはるかに上回った。

2012年創業のコインベースは、同取引所を用いた全売買から、0.57%の取引手数料を徴収してきた。市場調査会社マーケット・ウォッチによると、同社の2020年の売上高は11億ドル(売買総額は1930億ドル)で、その86%を取引手数料が占める。2021年第1四半期は売上高も18億ドルに急伸、取引手数料は15億ドルに達した計算だ。

マネー&マーケッツによると、コインベースが公開する1億1500万株については、2日前に200ドルという参考価格が付いていた。だが、同社の株式評価額が上場直前に850億ドルから1000億ドルへと急騰したことで、参考価格も上昇している。

ただし一部のアナリストは、このような株価は過大評価であり、ほぼ間違いなく期待外れに終わると指摘する。

クレオ・キャピタルのサラ・クンストは12日、ブルームバーグの取材に対し、コインベースの運用資産額は、1000億ドルと評価された企業としては高くないと指摘した。

顧客はあまり金がない?

「株式評価額1000億ドルというのは相当な規模だ。コインベースは口座数こそ4300万件だが、1顧客あたりの運用資産は2000ドル程度。それに対して資産運用大手のチャールズ・シュワブは、3150万件の口座で9兆ドルの運用資産を持つ。1顧客あたりではコインベースの3倍以上だ。創業から間もない企業に対するこれほどの期待は、非常に大きな賭けと言える」

マーケット・ウォッチのアナリストも、上場時の時価総額が1000億ドルに達することはなく、実施は189億ドル前後に留まると見る。暗号資産はいまだ主流からはほど遠い存在で、今後市場が成熟すれば利益率が最大98%減となる可能性もあると、マーケット・ウォッチは指摘する。

コインベースは急成長中かもしれないが、「COIN」(コインベースのティッカーシンボル)は、投資家が先を争ってカネをつぎ込むべき銘柄とは言えないというのがマーケット・ウォッチのアナリストらの見解だ。

(翻訳:ガリレオ)

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ米政権、一部帰化者の市民権剥奪強化へ=報道

ワールド

豪ボンダイビーチ銃撃、容疑者親子の軍事訓練示す証拠

ビジネス

英BP、豪ウッドサイドCEOを次期トップに任命 現

ワールド

アルゼンチンの長期外貨建て格付け「CCC+」に引き
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中