最新記事

感染対策

マスクなし1カ月、レンジャーズ戦ほぼ満員のテキサスで、感染者は「右肩下がり」

2021年4月9日(金)13時58分
ジェンキンス沙智(在米ジャーナリスト)
観客制限なしで行われたレンジャーズの本拠地開幕戦(4月5日、テキサス州アーリントン) 

観客制限なしで行われたレンジャーズの本拠地開幕戦(4月5日、テキサス州アーリントン) Jerome Miron-USA TODAY Sports

<保守的な共和党知事の下で、早期のマスク着用義務解除、事業活動全面再開を強行しながら、感染再拡大もなく好調>

米テキサス州のアボット知事が新型コロナウイルスの感染拡大に伴うマスク着用義務を撤廃し、事業活動を全面再開してから4月10日で1ヵ月が経過する。

規制解除が発表された当時、米国で2番目に人口の多いテキサス州で一旦減少傾向を示していた1日当たりの新規感染者数(7日移動平均)は再び7000人超へと跳ね上がり、死亡者数も累計4万2000人に達する一方、ワクチン接種の広がりは他州に後れを取っていた。

よってこの決定には州内外から反発や批判が相次いだが、企業寄りの姿勢で知られ、個人の自由を重視する保守派の多いテキサス州では、政府によるマスク着用義務化や活動制限にはもともと抵抗感も強かった。

共和党のアボット知事は規制解除の発表に際し、「テキサスを100%開き、州民の正常な暮らしを取り戻すことにこれまで以上に注力しなければならない」と述べた。

それから1ヵ月が経ち、状況はどのように変わっただろうか?

ほぼ普通の生活+マスク

多くの州に先駆けて経済活動を完全再開するとの発表は紙面を賑わせたが、3月10日を境に街ゆく人がみなマスクを外してコロナの終焉を祝ったわけではなく、いまだに学校やオフィスビル、店舗などは個別にマスク着用を求めているところがほとんだ。

また、州都オースティンと同市を含むトラビス郡が州の方針に反対してマスク着用義務の継続を決議したことに対して、州司法長官が規則執行の差し止めを求める裁判を起こし、郡判事がオースティン・トラビス郡側を支持する判決を下すなどのゴタゴタも続いている。

ただ、テキサス州中部に住む筆者の感覚からすると、出かける時にマスクを着ける以外、最近ではコロナ禍であることを忘れそうになるというのが正直なところだ。

レストランやバーに行けば大勢の人が店内での飲食を楽しみ、スポーツや娯楽、子供の習い事などの分野でも以前とほぼ同じような活動が戻っている。通っているジムでは室内にもかかわらずマスク着用が自己判断に任されるようになったことで、半数近くの人がマスクを外して運動している。

3月には約1週間の春休みもあったが、旅行を計画しているのは米国民の12%のみとの全米旅行産業協会のデータを疑いたくなるほど、周りでは近場・遠出含め遊びに出かけた人ばかりだった。

さらに、今月4日(日)はキリスト教の重要なイベントであるイースター(復活祭)で、多くの教会がネット配信ではなく実際に対面式で大規模な礼拝を行ったほか、大リーグのテキサス・レンジャーズも今週、コロナ禍以来主な米プロスポーツで初めて入場制限なしで試合を開催し、完売したチケットを手に入れた4万人近いファンが観客席を埋め尽くした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、重要鉱物価格の下限設定制度を構築へ=副大統領

ビジネス

米1月ADP民間雇用、2.2万人増 市場予想下回る

ワールド

中ロ首脳会談、緊密な関係称賛 プーチン氏に訪中招請

ビジネス

米TI、半導体設計会社シリコン・ラボラトリーズ買収
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れるアメリカ」に向き合う「日本の戦略」とは?
  • 4
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 5
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 6
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 7
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 8
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 9
    最長45日も潜伏か...世界が警戒する「ニパウイルス」…
  • 10
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 7
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 8
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 9
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中