最新記事

米中関係

始動したバイデンのアジア外交に中国が反発 クアッドは「アジア版NATO」

China Chides 'Cold War Mentality' As Antony Blinken Bolsters Anti-Beijing Alliance

2021年3月17日(水)16時51分
ジョン・フェン
日米2+2 訪日したブリンケン国務長官とオースティン国防長官

茂木外相と外交国防担当閣僚会合(2プラス2)に臨むオースティンとブリンケン(3月16日)Kiyoshi Ota/ REUTERS

<バイデン政権は「中国包囲網」を作ろうとしている、と神経をとがらせる中国>

3月15日にアメリカのアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官が日本に到着し、バイデン政権初の閣僚による外遊を開始する一方、中国はアジア太平洋におけるアメリカ主導の外交の動きに異議を唱えている。

日本はブリンケンとオースティンによる海外歴訪の最初の訪問国で、到着後ただちに日本側と外交国防担当閣僚会合(2プラス2)を開いた。

今回の訪日の数日前、ジョー・バイデン大統領は日米豪印戦略対話(通称クアッド)の史上初の首脳会議を主催した。この枠組みの目的は、増大する中国の影響力に対抗するためといわれている。

中国外務省の趙立堅(チャオ・リーチエン)報道官は、15日の定例記者会見で、アメリカ主導のこの2つの動きを批判した。

アメリカとその同盟国は中国に対して「信頼できる抑止力」を確保する必要があるというオースティンの最近の発言を受け、趙はアメリカ政府に米中関係を「正しい考え方」に基づいて論じるよう強く求めた。

中国は「世界平和を守る国だ」と、趙は述べた。「中国の発展は、世界平和がよりよく守られることを意味する。それは世界にとってもチャンスであって、挑戦ではない」

クアッド首脳会議にも反発

12日に行われたテレビ電話によるクアッド会合については、「冷戦の心理状態とイデオロギー的偏見」に主導されていると論評。この集団は「小さな派閥を形成する」のではなく、地域国間の「連帯と協力」を促進すべきである、と趙は参加国のアメリカ、インド、日本、オーストラリアを名指しせずに付け加えた。

中国は数年前から、クアッドは中国包囲網だとして反発してきた。昨年10月にマイク・ポンペオ元国務長官の訪日をきっかけに東京で開催されたクアッド外相会合にも批判的だった

2018年、中国の王毅(ワン・イー)外相は、クアッドはすぐにばらばらになって消えるという意味で「海の泡」と表現した。しかしそれ以来、中国政府はクアッド4カ国すべてと対立し揉め事を起こしている。

昨年夏には、中国とインドが国境を争う地域で両国軍が衝突し、双方に死傷者が出た。東シナ海では、中国政府は軍事基地を建設し、日本の領土である尖閣の領海に侵入を繰り返している。

昨年4月、オーストラリア政府が新型コロナウイルスの発生源に関する独立調査を要請すると、中国は石炭、木材、ロブスターなどのオーストラリアの主要製品の輸入を制限した。また、オーストラリア産ワインが不当に安く輸入されたと認定し、反ダンピング措置として同国のワインに200%以上の関税を課した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

チリ大統領選で右派カスト氏勝利、不法移民追放など掲

ワールド

ボルソナロ氏の刑期短縮法案に反対、ブラジル各地で抗

ビジネス

26年度賃上げスタンス、大半の支店で前年度並みとの

ワールド

米ブラウン大銃撃、拘束の「重要参考人」釈放へ 事件
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中