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2022年の米中間選挙、共和党員がすがるのはトランプの神通力

2021年3月22日(月)17時59分

ワシントン州でトランプ支持派の攻撃に直面している現職のヘレーラ・ブートラー下院議員の広報担当者によれば、同議員は「共和党保守派であることに変わりはなく、その立場を変えるつもりはない」という。

政治専門家によれば、党内での候補者選びに介入しようというトランプ氏の姿勢は、大統領経験者としては前例がない。ほとんどの大統領経験者は、党内での争いとは距離を置き、本選挙において支持するだけだったという。

ノースカロライナ大学のマーク・ヒザリントン教授(政治学)は、「このような例は見たことがない」と話す。

ヒザリントン教授によれば、トランプ氏のファンは共和党内で最も活気ある支持者層で、次期選挙でトランプ氏の協力を取り付ければ、彼らの支持を高めることができる。とはいえ、トランプ氏が自分を裏切ったと見なす共和党議員を標的にすることによって党内に分断が生まれ、最終的には民主党を利することになりかねない、と同教授は言う。

「(共和党は)自らの力を損なっている」とヒザリントン教授は言う。「その力は、公衆の中へと漏れ出ている」

トランプ氏、すでに介入開始

支援候補者の選定プロセスに関与するトランプ氏の上級顧問は、トランプ氏に支援された候補は本選挙では弱いという見方は当たらないとしている。昨年11月の選挙では、トランプ氏を前面に押し立てて戦ったことで、共和党は下院の議席を回復し、当選した共和党の女性下院議員候補は過去最多となり、ヒスパニック系有権者にも食い込む結果となった。

共和党当局者は、2022年の中間選挙で上下両院とも勢力を逆転させる可能性があると同氏は述べている。

2016年の選挙においてトランプ陣営の政治顧問を務めたサム・ナンバーグ氏は、「(トランプ氏は)共和党から煙たがられる状況に甘んじるつもりはない」と話す。

また、共和党全国議会委員会のトップで、下院議員選挙に向けた戦略・政治資金調達部門を率いるミネソタ州選出のトム・エマー下院議員は、トランプ氏支持をめぐる党内の分断についてはコメントを控えつつ、自ら率いる組織について、予備選での争いでは中立を守ると述べている。

トランプ氏はすでにいくつかの指名争いに介入している。トランプ氏は、1月の弾劾決議に賛成した10人の共和党議員の1人、オハイオ州選出のアンソニー・ゴンザレス下院議員に対抗するマックス・ミラー元大統領補佐官への支持を表明している。

トランプ氏の上級顧問がロイターに語ったところでは、ミラー氏は出馬を決断する前にトランプ氏の支援を確保するために働きかけてきたという。ミラー氏にコメントを求めたが回答は得られなかった。ゴンザレス氏のオフィスもコメントを控えている。

「マールアラーゴ詣で」

オハイオ州の別の選挙区では、引退するロブ・ポートマン上院議員の後継の座をめざし、ジョシュ・マンデル氏とジェイン・ティムケン氏が共和党の候補指名を争っており、トランプ氏への献身ぶりで相手より1歩先んじようと懸命だ。

ティムケン氏は15日、オハイオ州北東部にあるモスキート・レイク州立公園をトランプ氏にちなんで改称しようとする地方議会の法案を支持すると発表した。元オハイオ州共和党議長だったティムケン氏は、トランプ氏の弾劾を支持したゴンザレス下院議員に辞任を求めたこともある。

対抗するマンデル氏の陣営責任者であるスコット・ガスリー氏は、トランプ氏に対する忠誠という点ではマンデル氏の方がさらに上だとして、「この戦いにおいて掛け値なしにトランプ派と呼べる候補はマンデル氏だけだ」と述べている。

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