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2022年の米中間選挙、共和党員がすがるのはトランプの神通力

2021年3月22日(月)17時59分

2022年の下院議員選挙、州議会議員選挙に向けた党内の予備選の開始まで1年以上もあるが、共和党の出馬予定者はトランプ氏の支持を確保するために奔走している。写真は9日、ワシントン州カウリッツ郡の共和党本部で撮影(2021年 ロイター/Deborah Bloom)

シアトル南方、農業中心のワシントン州カウリッツ郡。先週、白人高齢層の有権者を前にして、4人の共和党員が次期選挙で同党のジェイミー・ヘレーラ・ブートラー下院議員を落選させるという決意表明を展開した。同氏が、共和党員であるにもかかわらず、暴徒による連邦議会議事堂襲撃事件を扇動した件でドナルド・トランプ前大統領を弾劾する決議に賛成した議員だったからだ。

マスクをしていない参加者も目立つ集会で、次々に登場した4人の候補者は、15分の持ち時間を使ってトランプ氏への揺るがぬ忠誠を披露した。その後、インタビューに応じた候補者らは、ワシントン州第3選挙区における来年の中間選挙で、10年にわたり議席を守っている現職ヘレーラ・ブートラー議員に勝つために、皆がトランプ氏による支持を求めていると語った。

新人候補の1人、退役軍人のジョー・ケント氏はロイターに対し、トランプ氏は共和党内で「今なお現役」であり、彼の支持は「非常に大きい」と語った。ケント氏によれば、前大統領の支持を勝ち取るために、強い人脈を有するコンサルタントと契約することを検討しているという。

2022年の下院議員選挙、州議会議員選挙に向けた党内の予備選の開始まで1年以上もあるが、共和党の出馬予定者はトランプ氏の支持を確保するために奔走している。ロイターの取材に応じた出馬予定者10数名とトランプ氏の顧問2人によれば、支持を勝ち取るためにすでにトランプ氏に働きかけたか、あるいはそれを予定している出馬予定者は何十人にも及ぶという。

2人の顧問によれば、あまりにも多くの支援要請が持ち込まれるため、トランプ氏は誰を支持すべきか検討するための正式なプロセスを定めたという。検討プロセスには、息子のドナルド・トランプ・ジュニアや、ジャスティン・クラーク氏、ジェイソン・ミラー氏など以前からの選対幹部が関与するという。

トランプ氏の広報担当者は、支援対象候補の検討プロセスや関与している人物についてコメントを控えている。

穏健派・無党派層が離反する懸念

トランプ政権下で共和党は大統領選、上下両院選で敗北した。にもかかわらず、トランプ氏の支持獲得に向けた競争が始まっている状況は同氏が引き続き共和党内で影響力を維持していることを裏付けている。

共和党主流派は、前大統領の歓心を買うための競争のせいで、予備選では過激なトランプ氏支持の候補者が勝利を収め、それによって本選挙では穏健派・無党派の有権者が離反してしまうのではないかと懸念している。昨年11月にトランプ氏が民主党ジョー・バイデン候補に敗北した際には、こうした有権者の離反が大きな要因になっていた。

かつて共和党全国委員会のトップ幹部だったダグ・ヘイ氏もそれを心配する1人だ。「怖いのは、(略)郊外地域の有権者にそっぽを向かれてしまうような言動をする一方で、トランプ氏のような投票率向上につながるような不思議な魅力を持たない人物を候補に指名してしまうことだ」。

トランプ氏は、1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件を扇動した件による同氏の弾劾決議に賛成した共和党下院議員に対し、落選させるための運動を起こすことを明言している。上院での弾劾裁判においてトランプ氏の有罪に票を投じた7人の共和党上院議員のうち、唯一来年の中間選挙で再選をめざすリサ・マーコウスキー上院議員も標的の1人だ。

トランプ氏は2月、オーランドで行われた「保守政治行動会議」における怒りに満ちた演説の中で、「奴らを全員落とせ」と述べた。また顧問らによれば、トランプ氏は連邦上院・州知事をめざすオープンな競争の中で自らお気に入りの支援候補を選びたがっているという。

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