最新記事

新型コロナウイルス

コロナ感染を家族に隠していた女性、一家5人全員が死亡

Woman's Entire Family Dies After She Hides Positive COVID Test

2021年2月5日(金)11時20分
リディア・スミス

コロナ禍のなか移住しようとコロンビア国境を目指すベネズエラの人たち Carlos Eduardo Ramirez-REUTERS

<PCR検査で陽性が出たことを女性は家族に半月間程、隠していたが、それによって家族全員の命を奪うことに>

新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応が出た後も、その事実を家族に隠して生活していた女性の、一家5人全員が死亡するという痛ましい事態が、南米ベネズエラで起きた。

ベネズエラ西部タチラ州在住のベロニカ・ガルシア・フエンテス(36歳)は、昨年12月中旬に体調を崩し、発熱があった。PCR検査で陽性が出たため、自宅で隔離措置を取った。しかし夫と3人の子供たちには、悪性のインフルエンザにかかったと告げて、コロナ感染の事実を隠していた。

ベネズエラの地元紙「ラ・ナシオン」によると、フエンテスは恐ろしさから感染を隠していたようだ。12月末になって、夫のホセ・アントニオが親戚のパーティーに行こうとしたため、他の親族と接触するのを避けるために、感染の事実を告げたという。

今年に入って、フエンテスは肺炎を発症していたが、夫と17歳の長男、そして4歳の双子の男児はいずれも簡易検査で陰性だった。

家族の症状も急変

2週間後、フエンテスは症状が悪化して病院に入院した。残りの家族も全員の感染が判明したが、いずれも無症状だった。

その数日後、夫のアントニオは重症化して病院に入院。1週間後にはフエンテスと夫の2人が死亡した。3人の子供も1月末までに全員が死亡した。

地元の医療当局者は、この悲惨な事態を受けて、マスク着用や手洗い、ソーシャル・ディスタンスといった基本的な感染予防策を徹底するよう呼び掛けている。

専門家はさらに厳重な警戒を求めている。地元の医師のアメリア・フレッセンは「コロナのような症状があったら、別の原因だと分かるまでは、全部コロナと考えなければならない」と強い口調で語っている。

WHO(世界保健機関)によると2021年2月の時点で、ベネズエラの累計患者数は12万7346人で、このうち1196人が死亡している。

ニューズウィーク日本版 台湾有事 そのとき世界は、日本は
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月26日号(8月19日発売)は「台湾有事 そのとき世界は、日本は」特集。中国の圧力とアメリカの「変心」に強まる台湾の危機感。東アジア最大のリスクを考える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米データブリックス、資金調達後に評価額が1000億

ワールド

米国家情報長官、情報機関の現旧職員37人の機密取扱

ビジネス

FRB議長が住宅業界に「深刻な打撃」とトランプ氏、

ビジネス

米株価、ジャクソンホール会合時期は毎年堅調傾向 例
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
特集:台湾有事 そのとき世界は、日本は
2025年8月26日号(8/19発売)

中国の圧力とアメリカの「変心」に危機感。東アジア最大のリスクを考える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 2
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 3
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家のプールを占拠する「巨大な黒いシルエット」にネット戦慄
  • 4
    【クイズ】2028年に完成予定...「世界で最も高いビル…
  • 5
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 6
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 7
    広大な駐車場が一面、墓場に...ヨーロッパの山火事、…
  • 8
    【クイズ】沖縄にも生息、人を襲うことも...「最恐の…
  • 9
    時速600キロ、中国の超高速リニアが直面する課題「ト…
  • 10
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 6
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 7
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 8
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中