最新記事

米中関係

「バイデンはトランプと同じく敵対的」──中国主要メディアが一斉に警告

China State Media Says Biden, Blinken's Views of China 'Identical' to Trump

2021年1月27日(水)16時35分
ベンジャミン・フィアナウ

南シナ海で「航行の自由」作戦にあたる米空母セオドア・ルーズベルト U.S. NAVY/REUTERS

<中国国営メディアと政府関係者は1月26日、バイデン政権が中国に対して、ドナルド・トランプ前大統領と「実質的に同じ」対決姿勢をとる可能性があるとの懸念を示した>

複数の中国国営メディアは、大統領選挙でトランプの「破壊的な」関税を批判していたジョー・バイデン大統領が最近になってそうした姿勢を後退させたことを受け、バイデンが「コワモテ」に見せようとしているのではないかと警告した。

バイデンが新国務長官に指名したアントニー・ブリンケンも、1月19日におこなわれた上院での公聴会で、「トランプの中国に対する厳しいアプローチは正しかった」と述べた。米中関係は、数年にわたってトランプが主導してきた貿易戦争や中国の人権侵害、新型コロナウイルスの発生源などをめぐって最悪の状態に陥っている。トランプと共和党員の多くは、バイデンが大統領になれば中国共産党に弱腰な政権になると主張してきたが、中国政府当局は、新政権も前政権と同じ「激しい反中感情」を抱いている可能性を指摘した。

中国政府系メディアが発表した論説は、1月25日の会見でバイデンの対中姿勢に関して質問の集中砲火を浴びたホワイトハウスのジェン・サキ報道官が「米中は激しい競争」のなかにあると言ったのを受けたものだ。中国最大の国営メディアのひとつである人民日報は読者に対し、バイデンは「アメリカという不安を癒す薬」にはならないと警告した。

アメリカの反中感情は「超党派」

中国大手紙の環球時報は26日の論説記事で、「サキの発言は、バイデン政権の中国に対する見方や性格づけが、トランプ政権と実質的に同じであることを示している」と述べた。「『中国と激しい競争関係にある』というのは、アメリカにおける超党派の合意事項だ」

「そうした姿勢は、トランプ政権時代の気まぐれな行動とは対照的な、健全な意思決定プロセスのように見えるかもしれない。しかし、ホワイトハウス記者会見での集中的な質問が示しているように、そこには見過ごすことのできない根本的な問題がある。バイデンの前任者の施策、とりわけ高い関税は、今後も引き続き、アメリカの経済、企業、消費者に損害を与えることになるだろう」と、環球時報は論説記事で警告している。

バイデンは、新型コロナウイルス感染症とアメリカ経済に集中的に力を注ぐと繰り返し明言しているが、今後数か月で中国への制裁関税を撤回する意思はなく、それ以外の点でも、トランプの攻撃的な対中姿勢に変更を加えるつもりがないことを示していると指摘している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエルのガザ支援措置、国連事務総長「効果ないか

ワールド

記録的豪雨のUAEドバイ、道路冠水で大渋滞 フライ

ワールド

インド下院総選挙の投票開始 モディ首相が3期目入り

ビジネス

ソニーとアポロ、米パラマウント共同買収へ協議=関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 3

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 4

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 5

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 6

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 7

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 10

    紅麴サプリ問題を「規制緩和」のせいにする大間違い.…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中