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新型コロナウイルス

トランプ政権、ワクチン開発は速かったが接種計画は手付かずだった──バイデンのクレイン首席補佐官が明かす

Vaccine Distribution Plan 'Did Not Really Exist' Under Trump: Biden Aide

2021年1月25日(月)15時33分
ジェイソン・レモン

NBCニュースの報道番組に出演したクレイン主席報道官(1月24日) NBC News/YouTube

<「ワープスピード作戦」には成功したが、その後の接種体制作りは放置。そのため今も、配布されたワクチンの半分しか接種されていないという。これもバイデン政権にのしかかる負の遺産の一つだ>

ジョー・バイデン大統領の首席補佐官に就任したロナルド・クレインは24日、ドランプ政権はきちんとしたワクチン接種の計画を最後まで立てないまま退任したことを明らかにし、遺憾の意を表明した。

トランプは一貫して新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の深刻さを軽視した。全米の州知事が実施したロックダウン(都市封鎖)をためらいもなく批判し、ウイルスの感染拡大を抑制する方法に関する科学的コンセンサスにも異議を唱えた。

一方でトランプは、記録的なスピードで新型コロナウイルスのワクチンを製造、配布するために「ワープスピード作戦」構想をぶち上げ、そこに重要な政府の資源をつぎ込んだ。アメリカでは12月に2種類のワクチンが承認された。それは確かに成果だったといえるが、接種開始は、トランプ政権当局者が約束した時期よりも遅れ、今もその遅れを引きずっている。

「私たちがホワイトハウス入りした時、ワクチンの配布プロセス、特に老人ホームや病院以外、地域全体に配布する計画は存在しなかった。誰もがご存じのとおり、ワクチン接種の段取りは混沌としており、接種を受けられる人は非常に限られている」と、クレインは1月24日、NBCニュースの番組で語った。

トランプ政権にはコロナをデマと信じる人間もいた

「この問題は全米で起きている。何百万回分ものワクチンが配布されているが、実際に投与されたのはその半分程度だ。つまりワクチンを実際に投与するプロセスこそが最大の難関といえる。その点においてアメリカ全体で遅れが出ている。だからバイデン政権では、接種の増加に焦点を当てている」と、クレインは付け加えた。

新型コロナウイルスのパンデミックに対するトランプ政権の対応は各所で批判されている。アメリカにおける感染者と死亡者の数は、世界のどの国よりも多く、その状態は今も続いている。1年以上前にアメリカで流行が始まって以来、感染者は2500万人以上、死者は41万7000人を超えた。

トランプ政権下で新型コロナウイルス対策コーディネーター(調整官)を務めたデボラ・バークス博士は24日、CBSニュースのインタビューで、政権の一部メンバーは新型コロナという感染症自体が作り話と疑っていた、と語った。

「間違いなくデマだと思い込んでいる人がいた」と、バークスは説明した。そしてトランプはいくつかの情報源から間違った情報を与えられていた、と述べた。「ホワイトハウスには、表に出ない形でひそかに流通している情報があった。私はそれを止めなくてはならなかった」

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