中国、ドイツ最大貿易相手国に復帰の公算 独対米輸出減少で

ドイツ連邦統計庁が8日発表した上半期の貿易統計で、中国がドイツの最大の貿易相手国として米国にほぼ匹敵する位置に達したことが明らかになった。ハンブルク港で2月撮影(2025年 ロイター/Fabian Bimmer/File Photo)
Rene Wagner Maria Martinez
[ベルリン 8日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が8日発表した上半期の貿易統計で、中国がドイツの最大の貿易相手国として米国にほぼ匹敵する位置に達したことが明らかになった。関税引き上げの影響でドイツの対米輸出が減少したことが背景にある。
ロイターの推計によると、上半期のドイツの対米輸出と輸入の合計は約1250億ユーロ(1450億ドル)となった。一方、中国との貿易総額は1228億ユーロに迫った。
米国は2024年に中国を抜いてドイツの最大の貿易相手国となり、中国の8年連続首位の記録に終止符が打たれた。ドイツは当時、政治的な相違点に加え、中国の慣行が不公平だとして中国への依存度を下げようとしていた。
ケルン経済研究所の国際経済政策責任者ユルゲン・マテス氏は、「年後半にかけてドイツの対米輸出の減少は続き、減少幅が拡大する可能性が高い」と述べた。
上半期の対米輸出は前年同期比3.9%減の776億ユーロだった。
コメルツ銀行は米国の新たな関税により、今後2年間でドイツの対米輸出が20─25%減少すると予想している。コメルツ銀のエコノミスト、ビンセント・スタマー氏は「中国は今年中にドイツの最大の貿易相手国の地位を奪還する可能性が高い」との見方を示した。
<中国からの輸入急増>
上半期の中国からの輸入は10.7%増の814億ユーロに達した。
スタマー氏は、「ドイツの企業や消費者は中国製品を代替するのが難しいと感じているようだ」と語った。
INGのマクロ部門グローバル責任者カーステン・ブルゼスキ氏は中国からの輸入増加について、中国が米国から欧州への貿易の方向転換を開始しており、ドイツをはじめとする欧州市場に安価な品物が流れ込む可能性があると述べた。
ケルン経済研究所のマテス氏は人民元がユーロに対して大幅に過小評価されていることも中国からの輸入品を割安にしていると指摘した。
ドイツの対中輸出は14.2%減の414億ユーロだった。輸出業者は中国メーカーとの競争激化で苦戦している。
対中輸出の急減と輸入の急増が相まって、貿易赤字は400億ユーロと、2022年に次いで過去2番目の高水準となった。
マテス氏は、「こうした事態は総じて独経済に打撃を与え、産業危機をさらに悪化させている」と述べた。