米ロ、ロシアによるウクライナ占領地域の領土承認で停戦合意模索=報道

米国とロシアは、ロシアが制圧下に置いているウクライナ領の占領を確定させる形でロシア・ウクライナ戦争の停戦合意の実現を目指している。写真はロシアのプーチン大統領。8日撮影(2025年 ロイター/Sputnik/Mikhail Metzel/Pool via REUTERS)
[8日 ロイター] - 米国とロシアは、ロシアが軍事侵攻を通して占領したウクライナ領を事実上ロシア領と認める形で、ロシア・ウクライナ戦争の停戦合意の実現を目指している。ブルームバーグが8日、複数の関係筋の話として報じた。
ブルームバーグによると、米ロ当局者は来週にも実施されるとみられるトランプ大統領とプーチン大統領との会談に向け、領土に関する合意の実現に向け調整を続けている。
また、ロシアは合意の一環として、ウクライナのヘルソン州とザポリージャ州で現時点での戦線に沿って攻撃を停止するとも報じた。
ロイターはこの報道内容を独自に確認できていない。
米ホワイトハウス当局者は、ブルームバーグの報道は観測にすぎないとコメント。ロシア大統領報道官からコメントは得られていない。
ウクライナ当局からこの報道に関するコメントは得られていないが、ウクライナのゼレンスキー大統領は「米国は停戦の実現を決意しており、われわれは共に、全ての建設的な措置を支援しなければならない。信頼できる持続的な和平は、共に取り組んでいくことによってのみ実現できる」とする声明を発表。声明ではブルームバーグの報道には触れていない。
ゼレンスキー氏はその後、恒例のビデオ演説で、ウクライナは米国と常に連絡を取り合っているとし、各国首脳とも十数回の会談を行っているとした上で、ロシアに対する適切な圧力次第で少なくとも停戦の実現は可能との認識をウクライナとその同盟国は共有していると述べた。
ゼレンスキー氏によると、8日夜にウクライナと同盟国の国家安全保障顧問が協議を行う。
ポーランドのトゥスク首相はこの日、ゼレンスキー氏と会談。その後の記者会見で、「ある種のシグナルがあり、紛争の凍結は遠のくよりも近づいているという希望がある」と述べ、戦闘の一時停止が近い可能性があるとの見方を示した。また、ゼレンスキー氏は「極めて慎重だが楽観的」だとし、停戦のほか、ロシアとの最終的な和平合意の実現に向けて、ポーランドを含む欧州諸国が役割を果たすことをウクライナは望んでいると語った。
ロシアはウクライナ東部ドネツク、ルハンスク、南部ザポリージャ、ヘルソンの4州の併合を一方的に宣言。2014年には南部クリミア半島のロシア領編入を一方的に宣言した。
ウクライナにとって、領土の約5分の1の喪失を受け入れることは難しいとみられる。米国務省の元ウクライナ経済復興担当副特別代表のタイソン・バーカー氏は、ブルームバーグが報じた案をウクライナは即座に拒否すると予想。「ウクライナにとっての最善策は、米国の支援に感謝を示しながら、交渉による解決を堅持することだ」と語った。