最新記事

アメリカ政治

前代未聞の米議会乱入騒ぎ、トランプ自ら激しい抗議で扇動

2021年1月7日(木)11時50分

米議会ではトランプ大統領支持者の一部が侵入し占拠する騒動となったが、大統領は何週間も前から抗議集会を呼び掛け、この日の演説でも支持者に「戦い」を訴えていた。ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Jim Bourg)

米国の民主主義の象徴である議会は6日、トランプ大統領支持者の一部が侵入し占拠する前代未聞の騒動となった。昨年11月の大統領選の不正を主張し、敗北をまだ認めていないトランプ氏は何週間も前から抗議集会を呼び掛け、この日の演説でも支持者に「戦い」を訴えていた。

トランプ氏は12月20日のツイートで「2020年の選挙で負けたというのは統計上不可能だ」とし、「1月6日にワシントンで大規模集会を開こう。ぜひ来てほしい。激しいものになるだろう」としていた。

6日は米大統領選の選挙人投票を正式に集計し、結果を認定する上下両院合同本会議が開かれる日だった。

集会には多数のトランプ支持者が集結。トランプ氏は演説し、議会議事堂に行進して選挙手続きに抗議の意を表明し、議員らに選挙結果を拒否するよう圧力をかけるべきだと強調。

「議会に行進し、勇敢な上院議員と下院議員を激励する」と呼び掛け、支持者らに「戦う」よう訴えた。

「われわれは決してあきらめしない。決して敗北は認めない」と述べ、民主党の勝利は「でたらめだらけだ」と語気を強めた。

これに支持者らは「でたらめだ」と何度も叫んで応じた。

演説開始から約50分後、まだ話が続く中で一部の支持者はトランプ氏の旗を振りながら議事堂に向かって動き始めた。

支持者らは議事堂で警備を破り建物内に侵入。混乱を受け、議事進行役を務めるペンス副大統領と上下両院の議員が避難したため、選挙結果の認定手続きが中断された。

ワシントンの警察によると、銃で撃たれた市民1人が死亡した。

議会関係者は同日夜に議会の建物内から侵入者は排除されたと語った。ただ、少し離れたところには極右グループのメンバーを含む多数のデモ隊がまだ残っていた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・1月20日、トランプは「自分の大統領就任式」に出る?
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体


ニューズウィーク日本版 日本人と参政党
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年10月21日号(10月15日発売)は「日本人と参政党」特集。怒れる日本が生んだ参政党現象の源泉にルポで迫る。[PLUS]神谷宗幣インタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ・ネットフリックス決算やCPIに注目=今週の

ワールド

米財務長官、中国副首相とマレーシアで会談へ

ワールド

全米で反トランプ氏デモ、「王はいらない」 数百万人

ビジネス

アングル:中国の飲食店がシンガポールに殺到、海外展
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心呼ばない訳
  • 4
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みん…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中