最新記事

国家安全法

香港警察、民主派50人超を一斉逮捕 国家安全法違反の疑いで 

2021年1月6日(水)15時25分

香港メディアによると、香港警察は民主活動家50人以上を香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで一斉逮捕した。写真は2017年8月、香港で抗議活動に参加する岑敖暉氏(2021年 ロイター/Tyrone Siu)

香港メディアによると、香港警察は6日、民主活動家50人以上を香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで一斉逮捕した。

民主党のフェイスブックと香港の公共放送、香港電台(RTHK)によると、立法会(議会)前議員のト謹申氏や林卓廷(ラム・チュクテン)氏、岑敖暉(レスター・シャム)氏などが逮捕された。

警察は現時点でコメントの要請に応じていない。


民主党のフェイスブックによると、昨年9月に予定されていた立法議会選に向けて民主派が昨年夏に実施した予備選への参加が逮捕の理由という。香港と中国の政府は、予備選は国安法違反だと警告していた。

当局は結局、新型コロナウイルスを理由に立法議会選の延期を決めた。●以下追加

香港メディアによると、警察はこの日、世論調査会社や法律事務所、香港紙・蘋果日報(アップル・デイリー)やネットメディア、スタンドニュースなどのオフィスも訪れた。●ここまで

さらに、警察は今朝黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の自宅を捜査した。同氏がツイッターとフェイスブックで明らかにした。同氏は昨年、2019年の反政府運動で違法集会を主催したなどの理由で収監された。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチの中国担当のシニア研究員、マヤ・ワン氏は、こうした強制捜査や逮捕は中国当局が香港の民主派を一掃しようとしていることの表れだと指摘した。●以下追加

地元メディアによると、警察は昨年の予備選に協力した民間調査機関「香港民意研究所(HKPORI)」のオフィスも捜査した。HKPORIは予備選に投票した60万人以上の人のデータを票の集計直後に破壊している。

また、警察は国安法を巡る取り締まりに関連し、家宅捜索した法律事務所、何謝韋律師事務所(Ho, Tse, Wai & Partners)で米国人弁護士を逮捕した。

台湾の対中施策を担う大陸委員会は声明で、香港の民主派の逮捕に衝撃を受けているとした上で、香港の民主主義と自由が今後も損なわれ、国際的な金融センターとしての地位が低下すれば、中国本土の利益にもならないと指摘した。

*情報を追加しました。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 岐路に立つアメリカ経済
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月3日号(5月27日発売)は「岐路に立つアメリカ経済」特集。関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、鉄鋼関税50%に引き上げ表明 6月4日

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中