最新記事

感染症対策

全米コロナの猛威止まらず ワクチン接種、国民の大半は半年先で政治指導者優先に批判も

2020年12月25日(金)14時10分

米国は24日、新型コロナウイルスが猛威を振るう中、異例の厳しいムードでクリスマスイブを迎えた。写真はNYの介護施設、ガラス越しに面会する家族(2020年 ロイター/Mike Segar)

米国は24日、新型コロナウイルスが猛威を振るう中、異例の厳しいムードでクリスマスイブを迎えた。欧州では感染力が高いコロナ変異種が拡大しており、米国の州・地方政府のトップは市民に対し旅行や大規模集会の自粛を訴えた。

米疾病対策センター(CDC)によると、今月14日以降に国内の100万人以上がコロナワクチンの接種を受けた。ただ、これまでのところ感染拡大に歯止めをかける効果は出ていない。

米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで、新型コロナウイルスに対する集団免疫獲得には人口の90%近くのワクチン接種が必要となる可能性があると発言。従来の推計値である60─70%を修正したことを認めた。

ロイターの集計によると、23日に確認された新型コロナによる国内の死者数は2日連続で3000人を上回った。死者の累計は32万6000人を超えた。

テネシーとカリフォルニアの両州が感染の中心地になりつつある。

テネシー州のビル・リー知事はツイッターに「私たちの州はコロナ感染拡大のグラウンドゼロ(中心地)となっており、州民が自らの責任を果たす必要がある」と投稿し、マスク着用や休暇シーズンの大規模集会の回避を呼び掛けた。

全米の州・地方政府のトップは11月下旬の感謝祭のお祝いが感染拡大の加速につながったとし、クリスマス休暇中の旅行を控えるよう市民に訴えた。しかし、多くの米国民は自粛疲れから、警告に従っていない。

米運輸保安庁(TSA)によると、23日の国内空港の保安検査所の通過人数は119万1123人となり、コロナ流行が始まって以来最多となった。1年前の193万7235人は下回った。

米国では、医療従事者、長期療養施設に入居する高齢者、議員、消防士などがワクチン優先接種の対象に指定されている。国民の大半は、接種が受けられるのは6カ月以上先になるとの通知を受けている。政治指導者が優先接種の対象となっていることには批判の声も出ている。

ニューズウィーク日本版 岐路に立つアメリカ経済
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月3日号(5月27日発売)は「岐路に立つアメリカ経済」特集。関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

仏大統領「米中分裂が最大のリスク」、インド太平洋と

ビジネス

関税の即刻見直しかなわないなら、合意は困難=日米交

ワールド

トランプ氏、中国の関税合意違反を非難 厳しい措置示

ワールド

中国、ブラジル産鶏肉の輸入全面禁止 鳥インフル発生
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中