最新記事

米外交

米国務長官に指名されたブリンケンの外交語録

What Antony Blinken Has Said about Key Foreign Policy Issues

2020年11月24日(火)17時40分
デービッド・ブレナン

ブリンケンはトランプがプーチンに「甘過ぎる」と批判。「トランプは国際舞台でプーチンと肩を並べ、ロシアによる米大統領選への介入疑惑について、アメリカの諜報機関よりもプーチンの言葉を重んじた。問題をさらに悪化させる姿勢だ」と彼は語った。

「またトランプは、ロシア政府がアフガニスタンで米兵殺害に報奨金を懸けていたという報告を受けても、何もしなかった。それどころか、その報告を受けた後にプーチンと話す機会が少なくとも6回はあったのに、会談の中でその問題を取り上げることすらせず、9月にワシントンで開催予定だった主要7カ国(G7)首脳会議にプーチンを招待した。これは本当に問題だ」

その上でブリンケンは「バイデン氏が大統領になれば、数々の越権行為についてプーチンにきちんと立ち向かうだろう」と述べた。「NATOについても(努力が足りないと非難し脱退すると脅すのではなく)、抑止力の強化に重点を置くだろう」

ロシアとの協力に前向きな部分も示した。「バイデン氏は(2021年2月に期限が切れる)米ロの新戦略兵器削減条約(新START)を延長して、プーチン大統領からのさまざまな挑発行為があっても、ロシアとの間で戦略的な安定性を促進していける方法を模索すべきだと考えている」とCBSに語った。

中国との関係断絶は逆効果

バイデンについてはこれまで、中国に対して甘過ぎるという批判がある。トランプが大統領に就任して以降、中国政府による挑発行為はより具体的な形を取るようになっている。バイデンは、アメリカは中国の拡張主義に強硬手段を持って当たるべきだという風潮が高まっているなかで大統領に就任することになる。

ブリンケンはこれまで、アメリカは軍縮や気候変動の問題について、中国と協力する機会を模索するべきだと発言してきた。9月には、トランプ政権の複数の関係者や共和党が提唱してきたような「中国との関係断絶」を試みるのは非現実的だと主張した。

「中国との関係を完全に断ち切ることは非現実的だし、かえって逆効果だ」とブリンケンは述べ、「それは間違いだ」と主張。バイデンならば、アメリカの同盟関係を拡大することで、中国に対抗しようとするだろうと語った。

ブリンケンはトランプの対中強硬外交や中国に仕掛けた貿易戦争を批判。9月には「現時点ではどう見ても、中国の戦略的立場が強く、アメリカの戦略的立場の方が弱い」と述べた。

また7月にはブルームバーグTVに出演し、トランプは人権や民主主義を擁護せずにアメリカの同盟を弱体化させ、それによって中国が「戦略的目標を推し進める」のを手助けしたと批判。「我々がまずすべきは、トランプがアメリカにもたらした戦略的損失を取り戻すことだ」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、22年2月以来の低水準
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 4

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 5

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 9

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 8

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中