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米外交

米国務長官に指名されたブリンケンの外交語録

What Antony Blinken Has Said about Key Foreign Policy Issues

2020年11月24日(火)17時40分
デービッド・ブレナン

ブリンケンは、バイデン次期政権は中国共産党の不正行為に対して、積極的に抵抗していくとも語った。「バイデン氏は中国と対峙するにあたって、まずはアメリカの同盟関係を強化することから始めるだろう。中国の言いなりにはならず、アメリカの意思に沿った形で米中関係を前進させていくためだ」と彼はCBSに語った。

彼はまた、中国による香港での人権侵害に対処しなければ、中国共産党がほかの場所でもこれまで以上に野心的な活動を展開しかねないとも警告。ブルームバーグTVで、「放っておけば、中国は台湾でも同じことができると考える可能性がある」と述べ、バイデンは「中国の台湾への干渉ぶりを顕在化させることで、台湾の民主主義を防衛する」だろうと語った。

「非核化より軍縮が現実的」

バイデン次期政権は、アメリカとして引き続き北朝鮮の非核化を追求していくと約束しているが、多くの専門家は、北朝鮮の最高指導者・金正恩が進んで核を放棄することはまずないだろうと確信している。

トランプは外交と制裁を組み合わせて北朝鮮に働きかけを行ってきたが、表面的な進展以上のものは達成できていない。ブリンケンはCBSに対して、「手持ちのカードをばら撒いて相手の反応を見るというトランプ大統領のやり方にも、幾つかの利点はあった。過去数十年にわたってアメリカの歴代政権が追求してきた政策に、効果がなかったことが分かったからだ」と語った。

だがブリンケンは、トランプのやり方は失敗だったと指摘。次期政権は現実味の薄い非核化よりも軍縮を模索するべきだと主張した。「近いうちに北朝鮮の完全な非核化を達成できる可能性は、ゼロではないとしても、きわめて低いのが厳しい現実だ」と彼は述べ、こう続けた。

「私たちに達成できる可能性があるのは軍縮であり、時間をかけた武装解除のプロセスを設けることだと思う。だがそのためには、持続的かつ包括的な圧力をかけて、北朝鮮を交渉のテーブルに着かせることが必要だ」

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