ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレリスク指摘

欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は9日、世界経済の混乱が物価圧力を押し上げ、インフレ率が中期的にECBの目標である2%を超える恐れがあるとして、ECBは利下げを停止すべきだと述べた。3月撮影(2025年 ロイター/Jana Rodenbusch)
[9日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は9日、世界経済の混乱が物価圧力を押し上げ、インフレ率が中期的にECBの目標である2%を超える恐れがあるとして、ECBは利下げを停止すべきだと述べた。
ECBは過去1年で7回利下げをした。
ECB理事会でタカ派のシュナーベル氏は、米スタンフォード大学フーバー研究所の会合で、金利はすでに景気を抑制しない、十分低い水準にあるとして据え置きを主張。
「金利を据え置くべき時だ。適切な行動は、金利を現在の水準近くで維持することだ」と述べた。
金融市場は、6月利下げの可能性を90%とし、その後数カ月間にあと1─2回利下げがあると予想している。
シュナーベル氏は、エネルギーコストの低下、ユーロ高、経済成長の低迷、米政権の貿易戦争による高度の不確実性によって、インフレ率は短期的にECBの目標を下回る可能性さえあるとした。ただ金融政策はかなり時間をおいて経済に影響を与えるため、一段の緩和が経済に波及する頃にはインフレが上向き方向に転じている可能性があると指摘した。
「中期的にユーロ圏のインフレに対するリスクは、財政支出の増加と、関税がグローバルバリューチェーンを通じて伝播することによるコストプッシュショックの再発というリスクの両方を反映して上向きに傾く可能性が高い」と述べた。
欧州が報復しなければ米関税はユーロ圏にとって実質デフレの効果があるという意見にも反論し、「欧州連合(EU)が報復しなくても、グローバルバリューチェーンを通じて生産コストが上昇すれば、外需減少によるディスインフレ効果は相殺されるため関税はインフレをもたらす」と述べた。
EUは米関税の報復する方針を示しており、関税の応酬は物価上昇圧力を強める。シュナーベル氏は、政策金利を維持することは、起こり得るさまざまな結果に対する保険だと主張した。