最新記事

米ロ関係

ロシア、偽の独立メディアを装い米有権者に影響か 前回の大統領選でも暗躍

2020年10月2日(金)10時25分

2016年の米大統領選に介入したとされるロシアの団体が独立した報道機関を装い、右寄りのソーシャルメディア利用者に影響を及ぼそうとしていたと、米連邦捜査局(FBI)の捜査に近い筋2人がロイターに明らかにした。ケンタッキー州ルイジアナの予備選投票所で6月撮影(2020年 ロイター/Bryan Woolston)

2016年の米大統領選に介入したとされるロシアの団体が独立した報道機関を装い、右寄りのソーシャルメディア利用者に影響を及ぼそうとしていたと、米連邦捜査局(FBI)の捜査に近い筋2人がロイターに明らかにした。

今年の米大統領選が約1カ月後に迫る中、ロシアによる関与が懸念される。

関係筋によると、今回の活動は「NAEBC(Newsroom for American and European Based Citizens)」と呼ばれる報道機関を中心に展開。サンクトペテルブルクに拠点を置くインターネット・リサーチ・エージェンシー(IRA)の関係者が運営を手掛け、米政治ニュースや時事問題を中心に保守派メディアの記事を再投稿したり、政治的にデリケートな記事を米国人に執筆させていた。

米検察当局によると、IRAは16年の米大統領選において、トランプ大統領が有利になるよう影響を及ぼす工作活動で中心的な役割を果たしていたとみられている。

米フェイスブックやツイッターは先月、IRAとつながりのある個人が運営する偽の左翼系報道機関のアカウントやページを発見し、削除したことを明らかにしている。

ロシア政府のぺスコフ大統領報道官は、NAEBCや偽の左翼系ニュースサイトいずれも認識していないとし、「ロシアはそのような活動に関与していない」とコメントした。

FBIはコメントを控えている。

NAEBCとロシア政府の関連を巡り、ロイターが電子メールでNAEBCにコメントを求めたところ、ノラ・ベルカと名乗る副編集長は「把握していない」と応じた。その後、ノラ・ベルカという人物や他のNAEBCスタッフのものとされるソーシャルメディアアカウントからは、NAEBCに関する言及が全て削除された。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB、大きな衝撃なければ近く利下げ 物価予想通り

ワールド

プーチン氏がイラン大統領と電話会談、全ての当事者に

ビジネス

英利下げ視野も時期は明言できず=中銀次期副総裁

ビジネス

モルガンS、第1四半期利益が予想上回る 投資銀行業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 2

    大半がクリミアから撤退か...衛星写真が示す、ロシア黒海艦隊「主力不在」の実態

  • 3

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無能の専門家」の面々

  • 4

    韓国の春に思うこと、セウォル号事故から10年

  • 5

    中国もトルコもUAEも......米経済制裁の効果で世界が…

  • 6

    【地図】【戦況解説】ウクライナ防衛の背骨を成し、…

  • 7

    訪中のショルツ独首相が語った「中国車への注文」

  • 8

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    「アイアンドーム」では足りなかった。イスラエルの…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 3

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...当局が撮影していた、犬の「尋常ではない」様子

  • 4

    ロシアの隣りの強権国家までがロシア離れ、「ウクラ…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    NewJeans、ILLIT、LE SSERAFIM...... K-POPガールズグ…

  • 7

    ドネツク州でロシアが過去最大の「戦車攻撃」を実施…

  • 8

    「もしカップメンだけで生活したら...」生物学者と料…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    猫がニシキヘビに「食べられかけている」悪夢の光景.…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    巨匠コンビによる「戦争観が古すぎる」ドラマ『マス…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中