最新記事

ノーベル賞

ノーベル医学生理学賞に米英の3研究者 C型肝炎ウイルス発見に対して

2020年10月6日(火)08時34分

スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、2020年ノーベル医学生理学賞の受賞者に、C型肝炎ウイルスを発見した米国人2人、英国人1人の研究者3人が選ばれたと発表した(2020年 ロイター/TT NEWS AGENCY)

スウェーデンのカロリンスカ研究所は5日、2020年ノーベル医学生理学賞の受賞者に、C型肝炎ウイルスを発見した米国人2人、英国人1人の研究者3人が選ばれたと発表した。数十年におよぶ研究は、感染拡大の抑制や感染者を治療する抗ウイルス薬開発に役立った。

受賞者は米国立衛生研究所(NIH)のハービー・アルター氏と米ロックフェラー大学のチャールズ・ライス氏、カナダ・アルバータ大の英国人マイケル・ホートン氏。3人の研究結果により、世界保健機関(WHO)が2030年までの目標とするC型肝炎ウイルス根絶を達成する可能性が出てきた。

3人の研究者は、血液によって感染するウイルスがC型肝炎を起こすことを発見・証明。賞金1千万クローナ(110万ドル)を等分する。

C型肝炎の年間の感染者は7000万人を超える。死者は毎年約40万人。

今年のノーベル医学生理学賞の指名期間は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)より前だった。受賞者を選定するカロリンスカ研究所で選考委員会を率いるトーマス・パールマン氏は、新たな疾患との闘いに勝つ第一歩はウイルスの発見が重要であることを認識した選定だと説明した。

研究は1960年代にさかのぼる。NIH勤務のアルター氏は、肝炎が輸血によって感染しうることを発見した。それまで知られていたA型やB型が原因でないことを確認した。

1980年代半ばにバイオ医薬品会社カイロンで研究チームを率いていたホートン氏が、感染したチンパンジーの血液を利用してウイルスのクローンを作成。フラビウイルス属のこのウイルスは後にC型肝炎ウイルスと名付けられた。ウイルスを特定したことにより血液バンクにある血液を検査し感染を大幅に抑えることができるようになった。C型肝炎ウイルスは、肝硬変や肝臓がんを引き起こす。

その後、当時ワシントン大学セントルイス校にいたライス氏が遺伝子工学によってC型肝炎ウイルスを複製。チンパンジーの肝臓に注入すると、人の肝炎患者と同様の症状が起きることを確認した。

ノーベル財団は、12月の祝賀式の中心となる恒例の晩餐会を中止し、メダルと賞状の授与をテレビで放送することとした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 日本人が知らない AI金融の最前線
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月3号(2月25日発売)は「日本人が知らない AI金融の最前線」特集。フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに[PLUS]広がるAIエージェント

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アンソロピック、AI軍事利用の制限緩和しない意向=

ワールド

米国務省、ロシア攻撃で米の利益損なわないよう警告 

ビジネス

ワーナー、パラマウントと交渉へ 1株31ドルの新提

ビジネス

FRB当局者2人、当面の金利据え置き示唆 現行策「
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    3頭のクマがスキー客を猛追...ゲレンデで撮影された…
  • 5
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    「IKEAも動いた...」ネグレクトされた子猿パンチと「…
  • 8
    「極めて危険」──ゼレンスキー、ロシアにおける北朝…
  • 9
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 10
    武士はロマンで戦ったわけではない...命を懸けた「損…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 3
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 4
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 5
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 6
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 7
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 8
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 9
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中