最新記事

新型コロナウイルス

やはりあなどれない「飲食感染」のリスク

Coronavirus Patients Twice As Likely To Have Eaten In Restaurants: Study

2020年9月14日(月)17時35分
ハレダ・ラーマン

7月27日、ニューヨークのレストランで来店した客の体温を測るスタッフ Andrew Kelly-REUTERS

<米CDC、発症前にレストランなどで食事をしたと答えた人の割合は、陽性者のほうがずっと多いという研究を発表>

新型コロナウイルスの感染拡大を巡り、米疾病対策センター(CDC)が11日、新たな研究を発表した。症状が出て検査を受けて、陽性だった人と陰性だった人を比べると、発症前に外食をしていたかどうかに大きな差があるという。

CDCは7月1〜29日にアメリカ国内の11の医療機関で検査を受けた外来患者(いずれも症状あり)に対し、聞き取り調査を行った。そして新型コロナウイルスの陽性判定を受けた154人と、陰性だった160人の計314人について分析を行った。

マスクを付けるなど、人前では常に顔を覆っていた人の割合は、陽性の人(71%)も陰性の人(74%)もあまり違いがなかった。ところが判定前の14日間の間にレストランなどで外食した人の割合は、陽性の人では41%と、陰性の人(28%)を大きく上回ったのだ(飲食した場所が戸外だったか屋内だったかは不問)。

ちなみに発症前の2週間に買い物に出かけた人は陽性でも陰性でも80%を超え、他の人の家を訪問したと答えた人もそれぞれ約半数に及んだ。

また、スポーツジムや理美容院に足を運んだ人の割合も、陽性であれ陰性であれあまり変わらなかった。

他の陽性者の濃厚接触者だった割合は、陽性の人では42%、陰性の人では14%と大きな差が付いたが、その約半分は家族との接触だった。

客のマスクと店の対策の両方が必要

今回の研究を手がけた専門家らはこの結果について、飲食のためにマスクを外す必要がある場所では感染が起きやすいことを示唆しているという。

社会生活が元に戻りつつある中で「その場で飲食ができる店においては、客や従業員、コミュニティを守るため、ウイルスにさらされる可能性を減らす対策が検討されるべきだ」と研究者たちは説く。

もっとも今回の研究では、陽性患者群と陰性患者群の間で年齢や性別を揃えることができなかった。基準に合わず分析対象にできなかった患者もいれば、調査への参加や回答を拒否する患者もいたためだ。

また、患者たちは自分の検査結果を承知しており、それが「外出先や濃厚接触に関する質問への答えに影響を与えた可能性がある」という。

(翻訳:村井裕美)

<参考記事>感染再拡大のスウェーデン、対策主導の疫学者がマスクの効果を疑問視
<参考記事>ドイツ人 マスク嫌いすぎで小売業がピンチ

【話題の記事】
コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
米大学再開をぶち壊す学生たち、乱痴気騒ぎでクラスターも発生
【動画】タランチュラが鳥を頭から食べる衝撃映像とメカニズム
ハチに舌を刺された男性、自分の舌で窒息死

20200922issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

9月22日号(9月15日発売)は「誤解だらけの米中新冷戦」特集。「金持ち」中国との対立はソ連との冷戦とは違う。米中関係史で読み解く新冷戦の本質。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=小反発、ナスダック最高値 決算シーズ

ワールド

ウへのパトリオットミサイル移転、数日・週間以内に決

ワールド

トランプ氏、ウクライナにパトリオット供与表明 対ロ

ビジネス

ECB、米関税で難しい舵取り 7月は金利据え置きの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中