ECB、米関税で難しい舵取り 7月は金利据え置きの公算=当局者

トランプ米大統領が欧州連合(EU)に8月1日から30%の関税を適用すると発表したことを受け、欧州中央銀行(ECB)は難しい舵取りを迫られるものの、来週23─24日に開く理事会では予想通りに金利据え置きが決定される可能性が高い――。写真は2023年3月撮影(2025年 ロイター/Heiko Becker)
[フランクフルト 14日 ロイター] - トランプ米大統領が欧州連合(EU)に8月1日から30%の関税を適用すると発表したことを受け、欧州中央銀行(ECB)は難しい舵取りを迫られるものの、来週23─24日に開く理事会では予想通りに金利据え置きが決定される可能性が高い――。ECB政策当局者5人がロイターに対し語った。
ECBは6月の理事会で0.25%ポイントの利下げを決定。インフレ率がようやく目標の2%に戻ったことを受け、1年にわたった金融緩和サイクルを一時停止する可能性を示唆した。ただ、トランプ氏が示した30%の関税率は、ECBが6月に発表した3つのシナリオのうち、最も悲観的なケースで想定された水準さえも上回った。
こうした中、5人の政策当局者は、ECBは新たな試算を迫られ、6月時点の想定よりも一段と悲観的な結果を検討せざるを得なくなったと指摘。ただ、トランプ氏が4月に発表した大規模関税措置を巡り、たびたび矛盾する発言を繰り返していることなどを踏まえると、現時点ではまだ「脅威」の段階にとどまっている事態に対応することには消極的との見方を示した。このため、利下げに関する議論は9月の理事会に持ち越される可能性が高いという。
エコノミストは全般的に、トランプ氏が関税の脅しを実行に移す可能性は低いとみているが、実際にEUに30%の関税率が適用されれば、ECBは利下げで対応せざるを得なくなるとの見方を示している。
バークレイズのアナリストは、米国がEU製品に平均35%の関税を課した場合、ユーロ圏の経済成長率は0.7%ポイント押し下げられると試算。その場合、ECBは政策金利を現在の2.00%から来年3月までに1.00%に引き下げるとの見方を示した。