最新記事

感染症対策

北朝鮮、新型コロナ感染発生の可能性で非常事態宣言 開城市を封鎖

2020年7月27日(月)09時48分

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、新型コロナウイルスへの感染が疑われる脱北者が北朝鮮に戻ったとし、南北境界線付近の開城(ケソン)市を封鎖、非常事態を宣言したと、北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)が伝えた。写真は金正恩朝鮮労働党委員長。KCNAが25日配信(2020年 ロイター)

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、新型コロナウイルスへの感染が疑われる脱北者が北朝鮮に戻ったとし、南北境界線付近の開城(ケソン)市を封鎖、非常事態を宣言した。北朝鮮国営の朝鮮中央通信社(KCNA)が26日、伝えた。

確認されれば、北朝鮮が公式に認める初の新型コロナ感染者となる。

KCNAによると、金委員長は「悪性ウイルスが国内に流入したとみられる危険な状況」を受け、労働党政治局非常拡大会議を緊急招集した。

感染が疑われるのは3年前に脱北した人物で、今月19日、違法に軍事境界線を越えて北朝鮮側に戻ったという。

KCNAは「上気道の分泌物や血液の複数回にわたる検査」の結果、感染が疑われるとして当局が本人の隔離と濃厚接触者の追跡を行ったとしている。

アナリストは、この発表について、北朝鮮が初めて感染者発生の可能性を認めているだけでなく、支援を求めていることを示しているため、重要だと指摘している。

韓国の慶煕大学の朱宰佑(チュ・ジェウ)教授は「北朝鮮はおそらく、世界に人道支援を求めている」と述べた。

また、韓国統一研究院のシニアフェロー、チョウ・ハンブン氏は「韓国から持ち込まれたケースだと非難し、韓国からの支援を公に受け入れる手段としてこの問題を利用する可能性がある」との見方を示した。

KCNAは、感染が疑われる脱北者がどのようにして軍事境界線を越えたかには言及しなかったが、調査中だとし、責任を負うべき軍部隊は「厳重な処罰」に直面するとした。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・感染防止「総力挙げないとNYの二の舞」=東大・児玉氏
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・東京都、21日の新型コロナ新規感染230人程度 13日連続で100人以上続く
・インドネシア、地元TV局スタッフが殴打・刺殺され遺体放置 謎だらけの事件にメディア騒然


20200728issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月28日号(7月21日発売)は「コロナで変わる日本的経営」特集。永遠のテーマ「生産性の低さ」の原因は何か? 危機下で露呈した日本企業の成長を妨げる7大問題とは? 克服すべき課題と、その先にある復活への道筋を探る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

原油先物が小幅安、市場は対ロ制裁や関税を引き続き注

ワールド

米、メキシコ産トマトの大半に約17%関税 合意離脱

ワールド

米、輸入ドローン・ポリシリコン巡る安保調査開始=商

ワールド

事故調査まだ終わらずとエアインディアCEO、報告書
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 10
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中