最新記事

台湾の力量

中国より株を上げた「台湾マスク外交」──もはや捨て駒ではない

“MASK DIPLOMACY” A BOOST FOR TAIWAN

2020年7月16日(木)06時40分
ニコル・チャオ(台湾在住ジャーナリスト)

こうした状況は、アメリカの後押しを受けた台湾にとっては、国際的な立場を強化できる絶好のチャンスとなる。とりわけWHO(世界保健機関)へのオブザーバー参加には期待が高まった。

WHOに加盟できるのは国連の加盟国だけで、中国の圧力で台湾は国連加盟を認められていないため、WHOからも排除されている。ただ、過去にはオブザーバー参加が認められていて、パンデミックをきっかけに台湾の参加を認める機運が高まった。カナダ、欧州各国、日本、アメリカが支持したが、中国が頑強に抵抗。今年5月の年次総会では台湾のオブザーバー参加は見送られた。

トランプ政権は歴代の米政権の中でも最も台湾寄りともみられ、以前から米台関係は良好だったが、コロナ危機でさらに絆が深まった。

米中の緊張がエスカレートするなか、ドナルド・トランプ米大統領は3月末、連邦議会が可決した「台北法案」に署名。米台の経済関係を強化し、台湾の国際参加を支援する同法の成立は、台湾が国際社会の一員として受け入れられることをアメリカは支持するという明確なメッセージともなる。

パンデミックを克服するには国際協調が不可欠だが、残念ながら米中対立がそれを妨げている。そうしたなかで事態打開の鍵を握るのが発信力を増した台湾の存在だ。

もはや台湾は米中の頭越し外交に翻弄される、ただの捨て駒ではない。

From Foreign Policy Magazine

<2020年7月21日号「台湾の力量」特集より>

【話題の記事】
台湾のビキニ・ハイカー、山で凍死
中国は「第三次大戦を準備している」
中国・超大国への道、最大の障壁は「日本」──そこで浮上する第2の道とは
どこにも行かない台湾の「なんちゃってフライト」、コロナで旅に飢えた応募者が殺到

20200721issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月21日号(7月14日発売)は「台湾の力量」特集。コロナ対策で世界を驚かせ、中国の圧力に孤軍奮闘。外交・ITで存在感を増す台湾の実力と展望は? PLUS デジタル担当大臣オードリー・タンの真価。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

全米知事会、トランプ氏との会合中止 共和党のみ招待

ワールド

再送-中国首相がレアアース施設視察、対米競争での優

ワールド

再送-米ミネソタ州知事、トランプ政権の移民取り締ま

ビジネス

中国1月CPI、伸び0.2%に鈍化 PPIは下落率
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 2
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...周囲を気にしない「迷惑行為」が撮影される
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 5
    崖が住居の目の前まで迫り、住宅が傾く...シチリア島…
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    変わる「JBIC」...2つの「欧州ファンド」で、日本の…
  • 8
    衆院選で吹き荒れた「サナエ旋風」を海外有識者たち…
  • 9
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 10
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 5
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
  • 10
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中