最新記事

宇宙

宇宙の真理にまた一歩近づく、画期的なX線宇宙マップが初公開

Incredible X-Ray Map of the Universe Like You've Never Seen It Before

2020年7月10日(金)14時40分
アリストス・ジョージャウ(科学担当)

これまで分からなかったブラックホールなども多く確認された Jeremy Sanders, Hermann Brunner and the eSASS team (MPE); Eugene Churazov, Marat Gilfanov (on behalf of IKI)

<宇宙全体の銀河やブラックホールが発するX線を捉えたイメージ画像を、ロシアとドイツが共同事業で作成>

地上からの望遠鏡では観測が困難な、高エネルギーのX線によって天体を捉えた、画期的な「X線宇宙マップ」を研究グループが公開した。

このイメージ画像は、昨年7月にロシアとドイツが共同事業で打ち上げた宇宙望遠鏡「Spektr-RG」に搭載されたX線観測装置「eROSITA」が、182日間に渡って収集した観測データをもとに、初めて宇宙全体のマップが作成された。

マップには、これまで観測されたものの2倍にあたる、100万以上のX線天体が描かれている。

「今回の全天イメージは、エネルギーに満ちた宇宙の見方を完全に変えた」と、独マックス・プランツ地球外物理学研究所(MPE)のペーター・ブレデールは声明で述べている。「詳細まで可視化され、このイメージの美しさは本当に見事だ」

【動画】ロシアとドイツの共同事業が全天のX線宇宙マップを作成


中性子星同士の融合も確認

多くの天体は、高エネルギーの電磁放射線であるX線を発しているが、「eROSITA」による全天マップは、これまでの光学望遠鏡や電波望遠鏡によって作成されたマップとはかなり異なっている。

マップに示されたほとんどのX線天体は、「活動銀河核」と言われる巨大なブラックホールで、周囲の物質や広大な銀河団を飲み込んでいる。これらの多くが、以前には特定されたことがないブラックホールだ。

その他にも、地球がある銀河系の高温ガスの構造や、銀河系と近隣の銀河で起こったスーパーノバ(超新星)爆発の残骸(大マゼラン雲、小マゼラン雲など)をマップで見ることができる。

さらに、今回の観測で様々な、まれにしか起こらない珍しい現象が確認された。巨大な天体の非常に高密度な残骸である中性子星同士の融合や、ブラックホールに天体がのみ込まれるといった現象で、いずれもX線を放出する。

<関連記事:火星の移住に必要な人数は何人だろうか? 数学モデルで算出される

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナのロ大統領公邸攻撃「起きたと

ビジネス

米ブリッジウォーター、25年利益は過去最高 旗艦フ

ワールド

トランプ氏「キューバは崩壊寸前」、軍事介入不要との

ワールド

安保理、ベネズエラ大統領拘束の正当性焦点 米は責任
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 6
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中