最新記事

2020米大統領選

「バイデン大統領」に備える投資家 ドル売りに米株保有の圧縮も

2020年7月4日(土)14時08分

米大統領選で野党・民主党の候補指名を確定させたバイデン前副大統領の支持率が、現職のトランプ氏を上回り続けている状況を受け、一部の投資家はバイデン氏が勝利する展開に備えつつある。6月30日、デラウェア州ウィルミントンで撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)

米大統領選で野党・民主党の候補指名を確定させたバイデン前副大統領の支持率が、現職のトランプ氏を上回り続けている状況を受け、一部の投資家はバイデン氏が勝利する展開に備えつつある。

11月3日の本選までまだ4カ月残っており、さまざまな変化が起こり得る。多くの投資家の目がなおも、回復がようやく始まった米経済が新型コロナウイルスの感染再拡大からどんな影響を受け得るのかに向けられているのも確かだ。

それでも資産運用担当者の中には、既にバイデン氏当選の可能性を見越して、ドルを売ったり、米国株の保有規模を圧縮したりする動きが見られる。

フェデレーテッド・ハーミーズのチーフ株式市場ストラテジスト、フィル・オーランド氏は「トランプ氏の支持率は崖っぷちの水準まで下がった。市場はここに注目し『今選挙があればバイデン氏が勝つ』と告げている」と指摘した。

最新のロイター・イプソス世論調査では、バイデン氏の支持率はトランプ氏を8%ポイント上回っている。新型コロナ問題を巡るトランプ氏の対応についての評価は急落の一途だ。

ではバイデン氏が当選し、場合によっては民主党が上下両院の過半数を制すると、どういうことが起きるのか。アナリストの見立てでは、トランプ氏が推進し、米国株市場が好感してきた法人減税や規制緩和が巻き戻される恐れがある。

S&P総合500種<.SPX>は、コロナ問題による急落があったにもかかわらず、トランプ氏就任以降では約37%上昇している。ただ、以前の民主党政権下でもバラク・オバマ氏とビル・クリントン氏の1期目にはそれぞれ85%と79%の上昇を記録した。

アムンディ・アセット・マネジメントによると、バイデン氏が次期大統領になれば法人税率が28%に上がる可能性が高く、トランプ氏と共和党主導の議会が2017年終盤に打ち出した税率引き下げの半分が帳消しになりそうだ。

同社のポートフォリオマネジャー、パレシュ・ウパダヤヤ氏は、これがS&P500種企業の1株利益を約20ドル減らし、投資家の米国株離れとドル安につながりかねないとの見方を示し、ドル売りを進めている。

ラファー・テングラー・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、アーサー・ラファー・ジュニア氏も先週、ドル買いポジションを巻き戻した。バイデン氏勝利で経済成長が鈍化し、ドルに下げ圧力がかかるとの読みだ。なお、ラファー・ジュニア氏の父親は、トランプ氏の経済顧問を務めていた。

実際、通貨先物市場では、ドルの売り持ち規模が最近になって2年ぶりの高水準に膨れ上がった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏のウクライナ和平案、改善必要な面も=仏大

ワールド

高齢化は「時限爆弾」、経済成長を圧迫=EBRD

ワールド

タイ南部豪雨被害、救援物資乗せた空母派遣へ 洪水で

ビジネス

日経平均は小幅反発、ソフトバンクGが上値抑える
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネディの孫」の出馬にSNS熱狂、「顔以外も完璧」との声
  • 3
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後悔しない人生後半のマネープラン
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ…
  • 8
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 9
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 10
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 4
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 9
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 10
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中