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英アストラゼネカのコロナワクチン「AZD1222」、初期治験で免疫効果確認

2020年7月21日(火)09時56分

英医学誌ランセットは20日、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が共同開発中の新型コロナウイルスワクチンの初期臨床試験(治験)結果を公表し、安全性と免疫効果が確認されたと発表した。ニューヨークで昨年4月撮影(2020年 ロイター/Brendan McDermid)

英医学誌ランセットは20日、英製薬大手アストラゼネカと英オックスフォード大学が共同開発中の新型コロナウイルスワクチンの初期臨床試験(治験)結果を公表し、安全性と免疫効果が確認されたと発表した。

同ワクチン候補「AZD1222」について、世界保健機関(WHO)の科学者が最有力候補と期待している。

治験結果によると、深刻な副作用は確認されなかったほか、抗体とT細胞による免疫反応を誘発。また、2回の投与を受けた被験者の反応が最も強かったという。

同ワクチンの開発に資金を拠出する英政府のジョンソン首相は、この治験結果を「非常に前向きなニュースだ」と評価した。

ただ、研究者は開発はまだ初期段階だと慎重な見方を示し、ワクチン研究者のサラ・ギルバート氏は「新型コロナ感染から効果的に身を守るために必要とされる免疫反応の強さがどの程度かまだ分かっていない」と述べた。

オックスフォード大のエイドリアン・ヒル氏は、9月までに100万回分のワクチンを生産するという当初の目的について、後期治験の進み具合によって実現可能だとし、年末までの実用化もなお可能性があるとした。

この日は独バイオ医薬のビオンテック<22UAy.F> と米製薬ファイザーが、開発中の新型コロナワクチンに関する治験で得られた追加データを公表し、安全性や被験者の免疫反応が確認されたと明らかにした。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

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