最新記事

中国

北京コロナ第二波はなぜ起きたのか?

2020年6月17日(水)11時20分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

新型コロナ感染症 北京の食品市場を封鎖(6月16日) Tingshu Wang-REUTERS

約2ヵ月間コロナ感染者が出なかった北京で、6月16日までに106人の感染者が確認された。なぜ第二波が起きたのかに関して、中国の専門家は「ヨーロッパなどの感染流行地からの輸入品が原因である可能性が高い」と分析している。

北京市「非常時」宣言

約2ヵ月間も、ただの一人の新型コロナウイルス肺炎(以下、コロナ)新規感染者も出さず、これで大丈夫と胸を張って5月下旬には両会(全人代と全国政治協商会議)を人民大会堂で実際に人が集まって開催した北京は今、恐怖のどん底にいる。

6月11日に57日ぶりに新たなコロナ感染者が1人出ると、12日には6人、13日に36人、そして14日に36人となって15日までに計79人が確認されたことになる。

いま(16日)原稿を書いている真っ最中にもさらに27人の新規感染者が出たとCCTV(中央テレビ局)は声を張り詰めている。5日間で106人を記録したことになる。

集団発生したのは北京市の南西方向にある豊台区の「北京新発地農産物卸売市場」だ。ここは1988年に建てられた北京市最大の卸売市場で、北京市の野菜や果物あるいは肉類や海鮮類の80%の流通を担っている「北京の胃袋」である。一日に野菜1.8万トン、果物2万トン、生きている豚3000頭分、海鮮類1,800トンを呑み込む。

そこがやられたのでは、北京市民の生活は成り立たない。

6月15日、国家衛生健康委員会の警告を受けて、北京市政府は北京が「非常時に入った」と宣言した。

6月7日、中国の国務院新聞弁公室は「新型コロナウイルス肺炎疾病を乗り越えた中国の行動」という白書を出したばかりだ。まるで正式の勝利宣言を紙ベースで行ったかのような行動を中国政府が表明したというのに、その4日後には又もや武漢と同じく海鮮を含めた卸売市場での集団発生。中国政府のメンツが丸つぶれになってしまっただけでなく、北京市民は武漢の再現かと恐怖におののいている。

なぜ北京に第二波が来たのか?――冷凍食品の可能性あり

それに呼応してか、CCTVは引っ切りなしに特集番組を組み、「なぜ北京に第二波が来たのか?」「今後どうなっていくのか」「どうのようにして感染拡大を防ぐことができるのか」・・・などに関する分析を、専門家を交えて行っている。

どの番組でも、聞く方のキャスターは異なるが、回答するのは概ね中国疾病センター流行病学主席専門家・呉尊友氏であることが多い。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ウォン安と不動産価格上昇、過剰流動性だけが背景では

ビジネス

12月の豪消費者信頼感指数、悲観論が再び優勢 物価

ビジネス

ベトナムEVビンファスト、対インドネシア投資拡大へ

ワールド

EUメルコスルFTAに暗雲、仏伊が最終採決延期で結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 8
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中