最新記事

米中関係

米、新型コロナウイルスめぐり中国への報復措置検討

2020年5月1日(金)09時16分

米当局者ら複数の関係筋は、新型コロナウイルスの感染拡大を巡り中国に対する報復措置を検討する動きが米政権内で出ていることを明らかにした。ただ、こうした動きは初期段階にあるとして慎重な見方も示した。米国防総省で2018年11月9日撮影(2020年 ロイター/Yuri Gripas) 

米当局者ら複数の関係筋は、新型コロナウイルスの感染拡大を巡り中国に対する報復措置を検討する動きが米政権内で出ていることを明らかにした。ただ、こうした動きは初期段階にあるとして慎重な見方も示した。

米当局者が匿名を条件に語ったところによると、さまざまな選択肢が検討されているものの、トランプ大統領の国家安全保障担当トップのレベルには達しておらず、大統領にも提示されていない。

別の関係筋2人によると、現時点では国務省やホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)、財務省、国防総省など複数機関の当局者が非公式にさまざまな選択肢を議論しているという。

関係筋の1人は、米国は中国から防護具を輸入しているほか、通商協議に悪影響を及ぼすことにも慎重だとして、「中国にどの程度強硬な措置を講じ、どのように適度に調整するか議論が交わされている」と述べた。

関係筋2人によると、中国への制裁発動や、新たな関税またはその他の貿易制限のほか、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」を中国に対し認めない措置などが検討されているという。

ポッティンジャー大統領副補佐官(国家安全保障担当)らNSC関係者から報復措置を求める声が強い一方、財務省当局者は慎重な対応を促しているもようだ。

関係筋らは、議論はきわめて予備的な段階にあり、近く大きな措置が講じられるとはみられていないと話した。

米紙ワシントン・ポストは30日、関係筋の情報として、米政府高官が中国保有の米国債の一部を帳消しにすることを協議していると報じた。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は「全くの誤り」として報道内容を否定した。

トランプ大統領は29日、ロイターのインタビューで、新型コロナへの中国の対応巡りさまざまな選択肢を検討していることを明らかにし、「私には多くのことができる」と述べた。

ポンペオ国務長官はこれまでに、米政府は現時点でウイルスとの闘いを優先しているが、いずれ中国の責任を問う時が来ると警告している。

[ワシントン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・政府、緊急事態宣言を全国一律1カ月程度延長へ 明日の専門家会議で判断
・韓国そして中国でも「再陽性」増加 新型コロナウイルス、SARSにない未知の特性
・東京都、新型コロナウイルス新規感染46人確認 都内合計4152人に
・新型コロナウイルス感染症で「目が痛む」人が増えている?


20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国製品への80%関税は「正しい」、市場開放すべき

ワールド

ロシアで対独戦勝記念式典、プーチン氏は連合国の貢献

ワールド

韓国地裁、保守系候補一本化に向けた党大会の開催認め

ビジネス

米労働市場は安定、最大雇用に近い=クーグラーFRB
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中