最新記事

感染症対策

WHOテドロス事務局長、米の資金拠出停止「遺憾」 新型コロナウイルスへの結束要請

2020年4月16日(木)08時53分

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は15日、トランプ米大統領が資金拠出の停止を決めたことは「遺憾」と述べた。2月撮影(2020年 ロイター/Denis Balibouse)

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は15日、トランプ米大統領が資金拠出の停止を決めたことは「遺憾」と述べた。また、「危険な敵」である新型コロナウイルス感染封じ込めという共通の取り組みで世界は結束する時だと強調した。

トランプ大統領は前日、WHOは「基本的な任務の遂行を怠った」と非難し、WHOへの資金拠出を少なくとも一時的に停止するよう政権に指示したことを明らかにした。

世界全体の感染者が200万人を突破する中、トランプ大統領の決定には世界各国の指導者からも批判の声が上がっている。

テドロス事務局長は記者会見で「WHOへの資金拠出停止を指示したトランプ大統領の決定は遺憾」と表明。米国が長年にわたりWHOに惜しみない支援を行ってきたとし、「今後も継続することを願っている」と述べた。

その上で、米国の資金拠出停止による影響を見極めており、WHOの業務が滞ることのないよう不足資金の穴埋めに向け他の加盟国と連携していると明らかにした。

米マイクロソフト創業者で医療分野などで慈善事業に取り組むビル・ゲイツ氏はツイッターで「世界的な危機のさなかで資金拠出を停止するのは危険だ。WHOはいま、これまで以上に資金を必要としている」と訴えた。

米国のWHOへの拠出は世界最大。2019年の拠出は4億ドル以上で、WHO予算の約15%を占めた。

トランプ政権高官は15日、WHOに今年拠出する予定だった約4億ドルを別の国際支援機関に振り向ける可能性があると述べた。米政府は今年に入りすでに義務的拠出金の半額に相当する約5800万ドルをWHOに拠出しているが、高官は「2回目の拠出を停止する」とし、赤十字社など別の支援機関に資金を振り向けることは「非常に容易」との見方を示した。

WHOへの任意拠出に関しては、米国はこれまで年間で数億ドルを拠出している。米国の今年の任意拠出額は現時点で不明だが、別の高官は、他の機関に振り向けられると述べた。

WHOは新型コロナへの対応に10億ドル超の資金が必要だとしている。

ロイターの集計によると、世界で確認された感染者は15日時点で200万1548人となり、死者は13万1000人を超えた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・日本・台湾・香港の「コロナ成績表」──感染爆発が起きていないのはなぜ?
・アメリカが期待した「クロロキン」、ブラジルで被験者死亡で臨床試験中止
・「社会的距離の確保、2022年まで必要な可能性」米ハーバード大学が指摘
・気味が悪いくらいそっくり......新型コロナを予言したウイルス映画が語ること


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=下落、予想下回るGDPが圧迫

ビジネス

再送米GDP、第1四半期+1.6%に鈍化 2年ぶり

ビジネス

ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=

ビジネス

ECB、適時かつ小幅な利下げ必要=イタリア中銀総裁
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 3

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 4

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 5

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 6

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 7

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中