最新記事

子供

国連「新型コロナウイルスによる経済危機、数十万人の子どもを死に追いやる恐れ」

2020年4月17日(金)15時25分

国連はリポートで、新型コロナウイルスによる世界経済の縮小により、今年は数十万人の子どもが死亡し、数千万人が貧困に陥る可能性があると警告した。写真はグテレス国連事務総長。ニューヨークの国連本部で2月撮影(2020年 ロイター/Carlo Allegri)

国連は16日に発表したリポートで、新型コロナウイルスによる世界経済の縮小により、今年は数十万人の子どもが死亡し、数千万人が貧困に陥る可能性があると警告した。

リポートはまた、毎日の安定した栄養源として学校給食に依存している子どもが世界143カ国に3億6900万人おり、彼らはいまそうした食事の機会を別の場所に探すことを強いられていると指摘した。

グテレス国連事務総長は、「子どもたちに対するこうした脅威の一つ一つに対し、いま行動しなければならない。指導者は、パンデミック(感染症の世界的流行)による影響を緩和するため、力を尽くさなければならない」と述べた。

また、「公衆衛生の非常時から始まったこの事態は、一人も置き去りにしないという世界の約束に対し、恐るべき試練を雪だるま式に拡大している」と指摘した。

ロイターの試算によると、世界の感染者は200万人超、死者は世界の213の国と地域で13万8000人となっている。

米国と中国の研究によると、子どもは成人に比べ、感染しても無症状または軽症となる確率がより高いとみられている。

だが国連のリポートは、「世界的な経済の下降により家庭に生じている経済負担から、今年は過去2、3年の年間減り続けてきた小児死亡率の傾向が逆転し、数十万人の子どもが新たに死亡する可能性がある」とした。

また、今年は4200万から6600万人の子どもが新たに極貧状態に陥る可能性があるとしている。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・東京都で新たに201人の新型コロナウイルス感染確認 1日で過去最多
・新型コロナウイルス、モノの表面にはどのくらい残り続ける?
・コロナ対策の優等生、台湾の評価が急上昇
・イタリア、新型コロナウイルス新規感染者は鈍化 死者なお高水準


20200421issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月21日号(4月14日発売)は「日本人が知らない 休み方・休ませ方」特集。働き方改革は失敗だった? コロナ禍の在宅勤務が突き付ける課題。なぜ日本は休めない病なのか――。ほか「欧州封鎖解除は時期尚早」など新型コロナ関連記事も多数掲載。

さらに、188カ国で全土の学校が休校となっており、15億人の子どもが影響を受けていると指摘。「今日の若年層の学習と人的資本形成に対して生じ得る損失は計り知れない」との見解を示した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米肥満薬開発メッツェラ、ファイザーの100億ドル買

ワールド

米最高裁、「フードスタンプ」全額支給命令を一時差し

ワールド

アングル:国連気候会議30年、地球温暖化対策は道半

ワールド

ポートランド州兵派遣は違法、米連邦地裁が判断 政権
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 6
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 9
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 9
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 10
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中