欧州、ウクライナの利益守る必要性強調 米ロ会談控え対案か

欧州首脳は9日、ウクライナ戦争終結に向けてトランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と会談することを歓迎する一方、ロシアへの圧力を維持し、ウクライナと欧州の安全保障上の利益を守る必要性を強調した。写真はキーウで撮影(2025年 ロイター/Rickey Rogers)
Olena Harmash Suban Abdulla
[キーウ/ロンドン 9日 ロイター] - 欧州首脳は9日、ウクライナ戦争終結に向けてトランプ米大統領がロシアのプーチン大統領と会談することを歓迎する一方、ロシアへの圧力を維持し、ウクライナと欧州の安全保障上の利益を守る必要性を強調した。
トランプ氏は8日、プーチン氏と8月15日にアラスカで会談し、ウクライナでの戦闘終結を協議すると発表。停戦合意に領土の交換が含まれることを示唆した。
バンス米副大統領は9日、ロンドン南東部でラミー英外相やウクライナ、欧州諸国の代表らと会談し、トランプ氏の和平推進について協議した。
英仏独伊、ポーランド、フィンランドの首脳と欧州連合(EU)の欧州委員長は共同声明で、トランプ氏の取り組みを歓迎する一方、ウクライナへの支援とロシアへの圧力を維持する必要性を強調。
「外交的解決はウクライナと欧州の重要な安全保障上の利益を守るものでなければならない」とし、「これらの重要な利益には、ウクライナが主権と領土保全を効果的に守ることを可能にする強固で信頼できる安全保証の必要性が含まれる」と述べた。その上で「ウクライナの平和への道は、ウクライナ抜きで決定されてはならない」と訴えた。
力による国境変更に反対の立場も改めて強調し、現在の前線を交渉の出発点とすべきとした。
欧州当局者は会合で欧州側が米国に対案を提示したと述べたが、詳細は明らかにしなかった。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は欧州が示した対案について、他のいかなる措置よりもまず停戦を優先することや、いかなる領土交換も確固たる安全の保証を伴う相互的なものとすることなどを求める内容が含まれると報じた。
ウクライナのゼレンスキー大統領は国民向け演説で、会合は建設的だったとし、「われわれの主張は全て聞き届けられた」と述べた。その上で「ウクライナの平和への道はウクライナと共に決定されるべきだ」と強調した。
同氏はこれより先、「ウクライナ国民は占領者に領土を譲るつもりはない」と述べ、いかなる領土割譲も拒否する立場を示した。
こうした中、米NBCニュースは9日、米高官らの話として、ホワイトハウスがアラスカでの米ロ首脳会談にゼレンスキー氏を招待することを検討していると報じた。